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Jリーグ 4年前

英国人記者が選ぶJ2ベストイレブン。近い将来にJ1でも活躍? 今季ブレイクした逸材たち【英国人の視点】

今季の明治安田生命J2リーグは全日程を消化し、徳島ヴォルティスが優勝、アビスパ福岡がJ1昇格を決めた。今回は2009年に来日して以降、11年以上に渡って日本サッカーのさまざまなカテゴリーを取材してきたショーン・キャロル氏が、独自の視点でJ2ベストイレブンを選出した。(文:ショーン・キャロル)

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

前途有望な若きJ2ベストイレブン

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【写真:Getty Images】

 Jリーグアウォーズが12月22日に開催され、異常なまでに困難な1年間となった2020シーズンに目覚しい業績を残した選手たちの活躍が称えられた。

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 柏レイソルで昨季に続いて驚異的なシーズンを過ごしたマイケル・オルンガが最大の主役となり、年間最優秀選手賞を順当に受賞。一方、首位独走で王者に輝いた川崎フロンターレのメンバーはベストイレブンの実に9人を占めた。

 その翌日にはファン投票により選ばれたJ1、J2、J3の年間ベストイレブンも発表された。だがこういった投票はやはりビッグネーム優位となり、2020年を通して静かに輝きを放って選手たちが選ばれることはなかった。

 たとえば遠藤保仁は私も大好きな選手ではあるが、今年の彼がJ2の年間ベストチームに選ばれる理由はない。J3の18チーム中14位に終わったガンバ大阪U-23から8人が選ばれたことに至っては、とても今季の戦いが正当に反映されたとは言い難い。

 こういった状況を踏まえ、自分なりの11人を選んでみることを考えた。それほど大きく騒がれることはなかったとしても、約6ヶ月間を通して各クラブで素晴らしいパフォーマンスを見せていた選手たちに注目の目を向けることを目的としたものだ。

 今回選んだチームはJ2で新たに頭角を現してきたメンバーで構成した。今後数年間にJ1で、さらにはその先の舞台でインパクトを残すポテンシャルを持った選手たちにスポットライトを当てることを意図している。そのテーマに沿うため、すでに来年からトップリーグで戦うことになる徳島ヴォルティスとアビスパ福岡の選手たちや、J1クラブから期限付き移籍していた選手たちは選択対象から除外することにしよう。

 前置きはこれくらいにして、以下が私の選んだメンバーだ。

過密日程下で驚異のフルタイム出場

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ショーン・キャロル氏が選ぶJ2ベストイレブン

GK:小島亨介(アルビレックス新潟/23歳)

小島は今季中に負傷による長期離脱を強いられ、代役を務めた19歳の藤田和輝も非常に良くやっていたが、小島がチームにとって重要な存在であることは彼の不在によって強く印象付けられた。出場した22試合のうち7試合でクリーンシートを達成し、アルビレックスは今季の14勝のうち9勝を小島がゴールを守った試合で挙げている。

CB:柳育崇(栃木SC/26歳)

 今回選んだメンバーの中では最年長だが、保有元クラブのアルビレックス新潟で2018年と2019年にほとんど出場機会のなかった柳はJリーグでの飛躍のシーズンを過ごした選手の一人だった。堅実な守備に加えて相手のペナルティーエリア内でも大きな脅威となり、今季6ゴールを記録。そのうち4ゴールが決勝点であり、3点はアディショナルタイムに入ってからの得点だった。

CB:ンドカ・ボニフェイス(水戸ホーリーホック/24歳)

 秋葉忠宏監督のチームでベテランの細川淳矢からからディフェンスリーダーの役割を引き継ぎ、今季の水戸で最長のプレー時間を記録。その中ではいくつかミスを犯すこともあったし、ホーリーホックの守備全体も堅固とは程遠いものではあった。しかし、ボニフェイスの守備(そして攻撃も)に対する献身的でエネルギー溢れる姿勢は、間違いなく今後注目を続けるべき選手として目を引くものだった。

CB:岡村大八(ザスパクサツ群馬/23歳)

2020シーズンのJ2で全試合フルタイム出場を果たした唯一のフィールドプレーヤーである岡村は、マイボール時にも相手ボール時にも冷静で自信溢れるパフォーマンスを披露。すでに北海道コンサドーレ札幌が獲得を決めたのも当然だと感じられる。より質の高い相手に挑むことになる2021年にどの程度やれるのか、今から興味深い。

18歳のMFを選出

右WB:毎熊晟矢(V・ファーレン長崎/23歳)

 もともと攻撃的な選手である毎熊はV・ファーレン守備陣の右サイドにサプライズ起用され、手倉森誠監督からの信頼に応えてポジションを確保してみせた。当然ながらボールを持っての攻め上がりを難なくこなすことに加えて、守備面でも優れたポジショニングの意識を見せた。V・ファーレンは惜しくも昇格を逃したが、チームに貢献した。

左WB:本間至恩(アルビレックス新潟、20歳)

 ここで選んだメンバーの中で、唯一ファン選出のベストイレブンにも含まれていた選手。地元新潟出身の本間は現在のJ2で最も高い注目と期待を集めている選手の一人であり、すでにJ1の多くのクラブからの関心を引きつけている。常に相手選手に対して積極的に仕掛ける姿勢があり、ミドルレンジからのシュートも強烈。何もないところからいつでも何かを生み出せる力を持ち、守備面の仕事も積極的にこなしている。

セントラルMF:藤田譲瑠チマ(東京ヴェルディ/18歳)

 藤田は現代的なセントラルMFの姿を体現する存在であり、今季の永井秀樹監督のチームに欠かせない存在として定着した。まだ10代ながらも試合を読む力が非常に優れており、相手の攻撃を食い止めるとともに、自ら攻め上がって前線で何かを引き起こすことができる力も持つ。これから素晴らしい選手に成長していくかもしれない。

セントラルMF:佐野海舟(FC町田ゼルビア/19歳)

 2019年には相馬直樹監督によって主にサイドバックとして使われていたが、今年町田に戻ってきたランコ・ポポヴィッチ監督は中盤のファーストチョイスとして起用。若き佐野はガンバ大阪からレンタルされた高江麗央とともに花開いた。優れたポジショニングセンスを活かして驚異的なボール奪取力を発揮するとともに、ボールを持った状況でも効果的・効率的なプレーを見せる。

地元出身のストライカー

FW:明本考浩(栃木SC/22歳)

 地元出身の選手がトップチームで強烈な活躍を見せるのはファンにとって非常に喜ばしいことであり、今年の栃木ではまさに明本がそれを実現させた。宇都宮生まれの明本は優れた技術に恵まれ、常に積極的な姿勢でプレー。シーズンが進むにつれて9番の役割を果たすようになり、ゴールネットを7回揺らすとともに、チームメートにチャンスを生み出し続けて8アシストを記録した。

FW:加藤陸次樹(ツエーゲン金沢/23歳)

 典型的センターフォワードである加藤は今季の新発見となった。常に裏に抜け出すことを狙っており、守備陣を振り切るスピードも、そこからチャンスを物にするために必要な技術力も冷静さも兼ね備えている。ミスを犯すこともあったが、優れたストライカーらしくミスを引きずることなく、再びトライできるポジションへ入り込むことに集中している。

FW:ディサロ燦シルヴァーノ(ギラヴァンツ北九州/24歳)

 ディサロは単純に見ていて楽しい選手の一人。ピッチ上でのあらゆる瞬間を本当に楽しんでいるように見え、前線から相手を苦しめることに全身全霊を傾けている。だがそれ以上に、多彩な形からゴールを決められる力を持った選手であり、あらゆるチームがぜひ前線を任せたいと考えるタイプのストライカーだ。

▽控え
GK:永井堅梧(ギラヴァンツ北九州/26歳)
DF:黒崎隼人(栃木SC/24歳)
DF:熊本雄太(モンテディオ山形/25歳)
MF:中村亮太朗(ヴァンフォーレ甲府/23歳)
MF:氣田亮真(V・ファーレン長崎/23歳)
FW:奥抜侃志(大宮アルディージャ/21歳)
FW:浮田健誠(レノファ山口FC/23歳)

(文:ショーン・キャロル)

【了】

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