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レアル・マドリード、背番号11がついに完全復活か。アセンシオが躍動…左ウィングに激しい競争の予感【分析コラム】

ラ・リーガ第15節が現地23日に行われ、レアル・マドリードはグラナダを2-0で下した。公式戦6連勝を飾ったチームにおいて目立ったのは、途中出場したマルコ・アセンシオの活躍ぶりだった。チームメイトの負傷によって訪れたチャンスを生かした24歳は完全復活を印象づけた。(文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

好調レアルは6連勝

レアル・マドリード
【写真:Getty Images】

 ラファエル・ヴァランのミスから大ピンチを迎える不安な立ち上がりだったが、今のレアル・マドリードは心配無用だった。

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 現地23日に行われたラ・リーガ第15節のグラナダ戦を2-0で制し、マドリーは公式戦6連勝。リーグ戦でも5連勝と、序盤戦の不振を払拭して完全に息を吹き返した。

 自陣に守備ブロックを敷いて構えるグラナダに対し、マドリーは辛抱強く攻め続けた。そして57分にカゼミーロが先制点、後半アディショナルタイムの93分にカリム・ベンゼマが追加点を奪って、今季も上位争いに絡むグラナダに付け入る隙をほとんど与えなかった。

 唯一、残念だったのはロドリゴの負傷だろう。左ウィングで先発出場した19歳のブラジル代表FWは37分、果敢にドリブルで仕掛けてゴールを目指した。その場面で対面した相手右サイドバックのディミトリ・フルキエと接触して倒れると、自ら交代を要求。競り合った際に右太もも裏を痛めたようだ。

 ここのところ復調にあたって主要メンバーのほとんどを固定していたマドリーにとって、左ウィングだけが流動的なポジションだった。ロドリゴが2試合連続で同ポジションを担う前は、ヴィニシウス・ジュニオールなども起用されていた。

 とはいえ複数の選択肢があるのなら、あまり心配しすぎる必要はないのかもしれない。むしろグラナダ戦では新たな競争が巻き起こりそうな予感すら感じられた。

 ロドリゴに代わって左サイドに投入されたマルコ・アセンシオが完全復活を印象づけるセンセーショナルなパフォーマンスを披露したのである。長期離脱から復帰しても本来の動きを取り戻せていなかった名手は、軽快な動きで次々にチャンスを作り出した。

芸術的なヒールシュート

 特に先制点が生まれた前後のプレーには目を見張った。

 55分、右サイドで味方が攻撃を組み立てる間にペナルティエリア内へと侵入していたアセンシオは、芸術的なシュートで左ゴールポストを捉えた。ダニ・カルバハルのクロスに対し、左足のかかとで合わせてコースを変えたのである。GKルイ・シウバは一歩も動けず、シュートの行方に視線を送るしかなかった。

 このピンチを脱してもグラナダの守備陣は安心はできなかっただろう。相手がクリアに失敗してこぼれたボールを左サイドでマドリーのフェルラン・メンディが拾い、パスを受け取ったトニ・クロースがカットインからGK強襲の強烈なミドルシュートを放つ。

 さらに、左サイドの深い位置にポジションを取り直していたアセンシオがこぼれ球に反応し、折り返しからフェデリコ・バルベルデがフィニッシュを見舞う。これもグラナダの守護神に弾かれたが、最後はベンゼマが詰めてシュートを放った。

 ゴールにはならなかったものの、アセンシオの美しいヒールシュートをきっかけに4つの決定機が、わずか30秒ほどの間に生まれたのだ。

 そしてグラナダがゴールキックでプレーを再開したところから、すぐにボールを奪ったマドリーが一度も相手にボールを渡さず先制点を挙げる。しばらくゆったりとパスをつないで組み立てていると、左サイドのタッチライン際にポジションを取ったメンディに対し、クロースがロングパスを当てたところで一気にスイッチが入る。

 メンディはしっかりとボールを自分の前に落とすようコントロールして顔を上げると、内側に鋭く走りこんできたアセンシオのスピードを殺さない絶妙なスルーパスを通す。最後はアセンシオのふわりと浮かせた折り返しを、カゼミーロが打点の高いヘディングシュートでゴールに叩き込んだ。

アザールも復帰したが…

マルコ・アセンシオ
【写真:Getty Images】

 今季から背番号11を受け継いだ24歳のスペイン代表アタッカーが入って攻撃が活性化し、約1分40秒間で5つの決定機で畳み掛けてゴールネットを揺らす。勝負どころを心得た、力強いマドリーが戻ってきたことを印象づける展開になった。

 開幕からノーゴールが続くアセンシオに今季初得点は生まれなかったものの、初アシストがついた。躍動感あふれるパフォーマンスは見違えるようで、特にボールを持たない時の動きの質の高さと量の多さが目立っていた。

 一方、負傷したロドリゴの穴を埋められそうなもう1人の選手には出番がなかった。今季も筋肉系の故障に悩まされてリーグ戦は5試合ぶりのベンチ入りとなったエデン・アザールである。

 マドリーを率いるジネディーヌ・ジダン監督は試合後、「彼がプレーするのに適切な時だとは思わなかった。難しい試合で、エデンとリスクを冒したくなかった。少しずつ前進していくつもりだ」と起用をためらった理由について説明した。

 それでもベンチ入りメンバーに戻ってきたことは大きな進歩だろう。今後、徐々に出番が与えられるはずで、ロドリゴの負傷によって図らずもチャンスが広がった。

 ディフェンスラインや中盤の主要メンバーが固定されているのは好調な流れを継続できるという前向きな捉え方ができる反面、主力とサブの差が大きく選手層が薄いという後ろ向きな見方もできる。

 そうした中でも常にチーム内競争がある環境を維持していくことが重要で、左ウィングは絶対的な存在がいない数少ないポジションの1つ。これまで先発の機会が多かったヴィニシウス、完全復活を印象づけたアセンシオ、ようやく復帰してきたアザール、そして負傷離脱したロドリゴと多くの候補となる選手たちがいる。

 彼が切磋琢磨してピッチ上にポジティブなエネルギーをもたらせれば、マドリーが勝ち続けながら前進していく重要な原動力になるはずだ。

(文:舩木渉)

【了】

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