若手の躍動で5試合ぶりの勝利
ビジャレアルはようやく暗闇から抜け出すことができた。レアル・マドリード、レアル・ソシエダ、エルチェ、レアル・ベティスとの4試合に連続で引き分け。その間は複数得点がなかったが、5試合ぶりの3得点で勝利を掴んだ。
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ビジャレアルは、マヌ・トリゲロスのスルーパスに反応したジェラール・モレノのゴールで、幸先よく7分に先制する。19分にフェルナンド・ニーニョを倒したアリダネ・エルナンデスが退場となり、オサスナは1人少ない状況に。ニーニョのゴールでビジャレアルは2点をリードして前半を終えると、アグレッシブに圧力をかけるオサスナをいなしながら時計の針を進めた。
引き分けが続いた4試合で決めた3得点はPKとCKからだけだったが、この日は久々に流れの中からゴールが生まれた。パコ・アルカセルの不在は続くが、代役を務めたニーニョにラ・リーガ初ゴールが生まれている。
「私たちは彼らを信じているが、要求もしている。私たちは彼らにもう一歩を求め、彼らはそれを実行した。(13日の)ベティス戦から成長している」
ウナイ・エメリ監督はオサスナ戦の後、活躍した若手選手たちをこう称えた。初ゴールを挙げたニーニョだけではなく、左サイドで先発起用されたジェレミ・ピノは初アシストをマーク。16日のコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)で初出場にして初得点を決めたアレックス・ミジャンも、ラ・リーガデビューを飾っている。
久保建英に出場機会は訪れず
下部組織出身の選手たちが成長の階段を上っている。しかし、彼らと同世代の久保建英にとっては苦しい状況が続く。ビジャレアルは5試合ぶりの勝利を掴んだが、久保は蚊帳の外だった。
久保はここまでラ・リーガ13試合、UEFAヨーロッパリーグ5試合、コパ・デル・レイ1試合と、公式戦すべてに出場していた唯一の選手だった。途中出場が多かったものの、必ず出番を得てきたということは、試合のどこかで必要とされる場面があったということでもある。しかし、オサスナ戦では90分の間にそれが訪れることはなかった。
先発の攻撃ユニットは機能していた。ニーニョが前線でDFラインと駆け引きをして深さをとる。ジェラール・モレノは自由に動いてボールを収め、左サイドからはピノがドリブルで仕掛ける。空いたライン間のスペースにはトリゲロスが潜り込んだ。
この役割の中で久保が出られるとすればトリゲロスかジェラール・モレノの位置だが、両者ともに替えの利かない存在になっている。ベティス戦ではトリゲロスと久保が併用されたが、ゴールという結果には結びつかなかった。
ピノが自陣のペナルティーエリアでファウルを犯し、オサスナにPKを献上して1点を返された。イエローカードをもらったピノはその後に交代となる。久保にチャンスがあるとすればこのタイミングだったが、出番が与えられたのはサミュエル・チュクウェゼだった。
変わるビジャレアルの状況
「彼と話し合ったプロセスは、彼が快適にプレーできるようになると同時に、様々なポジションに適応していくこと」。以前、指揮官は久保とのやりとりを明かしたことがある。
「様々なポジション」とは、久保が得意な右サイドやセカンドトップではなく、左サイドも含まれる。実際に序盤戦では左サイドで起用される試合も多く、懸命に適応しようとする久保の姿がピッチにはあった。
しかし、シーズンが進むとともにチームの状況も変化する。先発したELスィヴァススポル戦、後半の頭からプレーしたエルチェ戦、リーグ戦2度目の先発となったベティス戦でプレーしたのはいずれも右サイド。左サイドでプレーする機会は減っている。
久保のパフォーマンスが悪かったわけではなかったが、久保がその間に得点に絡むことができなかったのもまた事実。そして、この試合では左サイドから仕掛けられるピノに打開を託し、それがうまくいった。
開幕から左サイドで不動の存在だったモイ・ゴメスも怪我から復帰。若いピノやアレックス・バエナも控えており、左サイドで久保がプレータイムを得るのは難しくなった。右サイドはチュクウェゼとの争いになるが、オサスナ戦ではジェラール・モレノに右サイドのスペースを与える形がうまくいっている。久保は四面楚歌となってしまった。
まもなく冬の移籍市場が開く。久保の去就については様々なメディアが盛んに報じているが、プレータイムという点で見れば、ビジャレアルでの未来は明るくないのかもしれない。
(文:加藤健一)
【了】