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痛恨の連敗
リバプール戦を控えている首位トッテナムにプレッシャーを与えたいチェルシーだったが、ここにきて痛恨の連敗。アウェイ2連戦で疲労の影響も少なからずあったのは間違いないが、結果だけでなく内容面でもポジティブな要素が多くないのはかなり厳しい。
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前節のエバートン戦は前半に与えたPKによる1点が響き0-1で敗れた。サイドからのクロスを中心にゴールを狙ったが、本職センターバック4人を最終ラインに並べたエバートンの壁は想像以上に分厚く、決定機のほとんどがセットプレーによるもの、という展開だった。
そして、チェルシーはグディンソン・パークでのゲームから中2日で行われたウォルバーハンプトン戦も同じような形で苦しんでいる。
序盤からボールを握ったチェルシーだったが、5-3-2で守るウォルバーハンプトンを前になかなか効果的な攻めを繰り出せない。クロスはことごとく弾き返され、訪れたチャンスはセットプレーによるものという構図はエバートン戦から大きく変わっていなかった。
それでもチェルシーは49分にオリビエ・ジルーが見事なボレーシュートを叩き込みなんとか先制に成功した。エバートン戦は早々に失点し苦戦を強いられたが、今回は自分たちがリードしたことで少し余裕のある試合運びを見せることができる…はずだった。
しかし、その後はウルブスに反撃を許し、ペースを握られた。すると66分に失点。ダニエウ・ポデンセが巧みなシュートフェイントでDFを揺さぶり、ゴール左隅にシュートを突き刺した。
これで流れは完全にホームチームに傾いた。ヌーノ・エスピリト・サント監督は同点直前にアダマ・トラオレを投入しており、彼の個の力、そしてスコアを振り出しに戻した勢いもあって、ウルブスは前半よりも深さを作れるようになっていた。そうすると、チェルシーは得点の可能性が必然的に低くなる。勝ち点1で十分、といった展開に持ち込まれてしまったのだ。
しかし、ウルブスは勝ち点1の「お持ち帰り」すらも許してくれなかった。後半アディショナルタイムにカウンターからペドロ・ネトが得点。逆転されたのだ。
攻撃のほとんどがジルー頼みのクロスで、崩し切れずカウンターから失点。フランク・ランパード監督率いるチェルシーは、上記した通りエバートン戦と同じことを繰り返してしまった。この連敗は大ダメージだ。
ジルー中心でヴェルナーは輝けない
チェルシーのシステムは現状4-3-3で、攻撃の中心となっているのは好調のジルーだ。しかし、それにより今夏にRBライプツィヒより補強したティモ・ヴェルナーが輝くことができていないという問題がある。
ヴェルナーの特徴は相手を一瞬で振り切るスピードとドリブルにある。RBライプツィヒ時代はとくにカウンター時に大きな威力を示していた。
ところが、チェルシーでは最前線にジルーがいるため、ヴェルナーはサイドに回されている。そうなると、よりゴールに近いエリアでこそ怖さが活きるドイツ人FWの特徴が出にくい。とくに、チェルシー相手にはエバートンやウォルバーハンプトンのように守りから入って来るチームが多い。そのため、より使えるスペースが限られてしまうので、結果を残すことがもっと難しくなる。
そして、チーム全体の攻撃がクロス中心になっているので、ここもヴェルナーが苦戦する要因となっている。ボックス内での強さがないわけではないが、そこが大きなストロングポイントというわけでもないからだ。
しかし、ランパード監督にはジルーを使いたいという気持ちがあるよう。かつ高額な移籍金を支払ったヴェルナーをベンチに追いやるわけにもいかないので、二人の同時起用は避けられない運命なのだ。
解決策はシステムを変更することだろう。2トップにし、ヴェルナーを適正ポジションに置き、ジルーと組ませることで特徴を引き出す。これだけですべてがうまくいくとは安易な考えかもしれないが、現状よりは得点の可能性が高まるかもしれない。
カイ・ハフェルツも本職ではないポジションで苦しんでいるが、まずは得点を奪うことが仕事であるヴェルナーの起用法の解決が先だ。過密日程の中、準備期間も短いがランパード監督の変化に期待したい。
(文:小澤祐作)
【了】