ビルバオの狙いは裏目に…
レアル・マドリードは4連勝を達成した。4試合ぶりに失点を喫したが、3得点は実に1か月半ぶりだった。
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立ち上がりはアスレティック・ビルバオのアグレッシブなプレスが目立った。出場停止のカゼミーロに代わってアンカーに回ったトニ・クロースを塞いでしまえば、レアルの攻撃は手詰まりになる。そこでボールを奪うことができればチャンスへと直結する。
しかし、ビルバオの狙いは裏目に出てしまった。クロースとマッチアップしたラウール・ガルシアは、8分、13分と立て続けに犯したファウルがいずれもイエローカードとなってしまった。退場者を出したビルバオのゲームプランは早々に崩れた。
1人少なくなった相手に対してレアルはボールを動かし続けた。ともに週末からは中2日のゲームで、レアルはカゼミーロ以外の10人を、ビルバオは8人を連続してピッチに立たせていた。後半に足が止まると予想することは容易で、焦れることなく相手をじわじわと追い詰めていくのはレアルらしかった。
トニ・クロースのミドルシュートが先制点となった。ヴィニシウス・ジュニオールのポストプレーからクロースが右足を振り抜いた。ビルバオは8人がゴール前に戻っていたが、ラウール・ガルシアがいるはずだったバイタルエリアを埋められなかった。
レアルが築いてきた阿吽の呼吸
後半、勇気をもってカウンターに人数をかけたビルバオが同点に追いつく。しかし、百戦錬磨のレアルは慌てることなくパスをつなぎ続け、相手のブロックを左右に揺さぶって勝機をうかがった。
ショートCKを受けたダニ・カルバハルのクロスをカリム・ベンゼマが頭で合わせて勝ち越しに成功している。言葉で表すのは簡単だが、2人の技術が光ったゴールだった。
ベンゼマはCKでマークされていたダニ・ガルシアが自身から離れるのを見るや否や、オフサイドラインぎりぎりの位置から相手DFの前に入り込んでいる。カルバハルのキックの精度が素晴らしかったことは言うまでもないが、ベンゼマのポジショニングが秀逸だった。
ビルバオは後半にチャンスをいくつか作ったが、ティボー・クルトワが立ちはだかった。後半アディショナルタイムにはジェライ・アルバレスのスルーパスを受けたミケル・ベスガがシュートを放つが、クルトワがセーブ。ここからレアルのカウンターが始まり、最後はベンゼマが冷静に仕留めた。
クロースのミドルシュート、カルバハルのクロス、クルトワのセーブ、そしてベンゼマのシュート。活躍すべき選手がきっちりと結果を残す。シンプルだが、絶妙なバランスで彼らはお互いの特徴を引き出し合い、弱点をカバーし合う。長年かけて築いてきた阿吽の呼吸でレアルは成り立っている。
ビルバオに苦しみながらも勝利したレアルは、ラ・リーガで3連勝。アトレティコ・マドリードは2試合消化が少ないものの、レアル・ソシエダを含めた3チームが勝ち点26で並んでいる。
イスコとマルセロの未来
過密日程と言えど、連勝中にメンバーを入れ替えるのは定石ではない。4連勝中に先発起用されたのはわずか13人。怪我から復帰したダニ・カルバハル、その復帰によってベンチスタートとなったロドリゴ、ビルバオ戦で出場停止となったカゼミーロに代わってビルバオ戦で起用されたフェデリコ・バルベルデの4人以外は、4試合すべてに先発している。
出ずっぱりなメンバーがいれば、出場機会を失った選手もいる。
マルセロはこの1か月で出場したのはわずか1試合。唯一プレーしたアラベス戦では痛恨の敗北を喫している。今季レアルが喫した5敗のうち、4敗はマルセロが先発した試合ということもジダンが起用をためらう理由だろうか。フィジカルとスピードに優れるメンディが今のレアルの戦いにフィットしているのも明らかだ。
イスコは4試合ぶりにピッチに立った。30分弱のプレー時間で32本のパスをつなぎ、100%のパス成功率を記録したが、ゲーム勘の欠如は否めなかった。今日のように1人多い状況であれば中盤に入れて10番の役割を任せることができるかもしれないが、そのようなチャンスは限られる。
かつてはクリスティアーノ・ロナウドの一撃に望みをかけることもできた。しかし、現在は固い守備と先行逃げ切りが勝利への最短距離となっている。戦略的に見ても、マルセロやイスコのような存在を扱うのは難しくなってしまった。彼らの未来はもうレアルにないのかもしれない。
レアルで公式戦515試合に出場してきたマルセロと、ジダンの下で165試合に出場してきたイスコ。2人の功労者はキャリアの岐路に立たされている。
(文:加藤健一)
【了】