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南野拓実は「リンクマン」として機能した。怪我人続出&過密日程で問われるリバプールの姿勢【分析コラム】

プレミアリーグ第12節、フラム対リバプールが現地時間13日に行われ、1-1の引き分けに終わった。南野拓実は後半開始からピッチに立ったが、リバプールは同点に追いつくのがやっとだった。(文:本田千尋)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

最初の30分は完全にリバプールの負け

南野拓実
【写真:Getty Images】

 これも“王者の宿命”か。現地時間12月13日に行われたプレミアリーグ第12節、リバプールはアウェイでフラムと戦った。

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 試合後にユルゲン・クロップ監督が「彼らは明らかにいつもとは違うやり方でプレーした」と振り返ったように、フラムはカウンターに特化してリバプールに挑んできた。

 クロップ監督が「最初の30分間で我々はゲームを落としていた可能性があった」とも振り返ったように、前半が始まると、すぐにGKアリソンはFWイヴァン・カヴァレイロとの1対1の場面を迎える。

 褐色の元ポルトガル代表FWは4分、右サイドでルーベン・ロフタス=チークのスルーパスに抜け出し、14分には左サイドでルックマンのパスに抜け出して、立て続けに決定機を迎える。ここは復帰したばかりのアリソンがビッグセーブを連発して事なきを得たが、リバプールは全体的に足取りが重く、守備に強度がなかった。簡単に言ってしまえば“満身創痍”ということになる。怪我人が続出する中でCLも含む過密日程をこなしてきたことを考えれば、無理もない。

 リバプールの守備陣は、ドリブラーのルックマンの仕掛けにも手を焼き、25分にはカットインからの際どいシュートを打たれている。ここもアリソンの好セーブで何とか凌いだが、ボールを持たないフラムが主導権を握る流れは変わらない。すると直後のセットプレーからショートカウンターを食らい、ボビー・デ・コルドバ=リードに強烈な一撃を叩き込まれて失点。クロップ監督が振り返ったように、確かに「最初の30分間」だけを振り返れば、完全にリバプールの負け試合だった。

南野拓実はリンクマンとして機能

 さらにCBのジョエル・マティプが負傷と泣きっ面に蜂のリバプールは、後半に入ると、代わりに南野拓実を投入。おそらく南野に与えられた主な役割は、高い位置で奪い返してショートカウンターに繋げること、といったところだったのではないか。

 前所属のレッドブル・ザルツブルクでプレーし、ゲーゲンプレッシングのDNAが刻み込まれている日本人MFは、62分にペナルティアークの手前でボールを奪って、ジョーダン・ヘンダーソンの決定機を演出。70分には、敵陣でマリオ・レミナに奪われかけたボールを再び自分のモノにして、チーム全体が畳みかける攻撃に繋げている。

 こういった意味でのリンクマンとして、このフラム戦の南野は、まずまず機能していたと言えるのではないか。もちろんフィニッシュに絡めればなお良いが、いつもの3トップは残していたことを考えると、クロップは日本代表MFにフィニッシャーとしての役割までは求めていなかっただろう。

 徐々に勢いを取り戻していったリバプールは、78分にジョルジニオ・ワイナルドゥムが蹴ったFKが、壁に入った相手選手の手に当たってPKを獲得。このチャンスをモハメド・サラーが決め切って、同点に追い付く。

 80分を過ぎて、さらにギアを上げたリバプールだったが、勝ち越し点を決めるまでには至らず。17位のフラムに引き分けるのがやっとだった。

 だが、CLで国外遠征もする過密日程の中で選手をやりくりしながら、こちらに特化した戦術で挑んでくる相手との試合をこなしていかなければならないのは、ある種“王者の宿命”とも言える。特に相手チームが格下であればあるほど、リバプールに負けて失うものは何もないといった特攻的なメンタルで厄介だが、それでもチャンピオンとしての地力を示して、勝ち点をもぎ取っていかなくてはならないのだ。

 しかし、こうしたタフな戦いの連続こそが、まさにクロップ好みのシチュエーションなのかもしれない。王者としてのプライドを維持しつつ、目の前の現実に対する挑戦者としての姿勢が問われるのだ。

(文:本田千尋)

【了】

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