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5位に浮上したサウサンプトン
ロケットスタートを切ったエバートンとアストン・ヴィラの調子も落ち、プレミアリーグは見慣れた顔ぶれが上位を占めている。就任2年目を迎えたジョゼ・モウリーニョ率いるトッテナムと王者リバプールが勝ち点24で並び、チェルシーとレスターが続く。1試合未消化のマンチェスターの2クラブは6位と7位につけている。
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ブライトン戦に勝利したサウサンプトンは5位と健闘している。第8節ではニューカッスルに勝利を収め、暫定ではあるが首位にも躍り出た。サウサンプトンがトップリーグで首位に立つのは32年ぶりの快挙で、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督も「素晴らしいことで、歴史的だ」と上機嫌だった。
ブンデスリーガ初挑戦だった16/17シーズンのライプツィヒをいきなり2位に押し上げて名を上げた指揮官は、2018年12月にサウサンプトンにやってきた。初年度は降格圏をさまよっていたチームを残留に導き、昨季はリーグ戦再開後の9試合を1敗で乗り切って12位まで押し上げている。
1年目は5バックで守り切ることも多く、昨季もスタートは5バックだった。レスター戦の0-9という惨敗を喫したあたりから4バックに変更して、インゴルシュタットやライプツィヒで見せていたようなトランジションを前面に押し出すサッカーを見せるようになった。
縦へ素早く展開するのがサウサンプトンの肝になる戦い方で、オーバーロードと呼ばれるボールサイドに人数をかける攻撃を好む。データサイト『Whoscored.com』の集計では、サウサンプトンはリーグ6位のボール保持率を記録しているが、パス成功率では13位で下から数えた方が早い。トランジションの強さを活かした戦いが数字にも表れている。
唯一無二の武器
PKから先制したブライトンは自陣でブロックを敷いた。ボールを持たされるとサウサンプトンは苦しい。ブライトンはアダム・ウェブスターやルイス・ダンクが最終ラインに並び、セオ・ウォルコットとチェ・アダムスの2トップにはロングボールをなかなか入れられず。サイドチェンジをしても相手の両ウイングバックがサイドのスペースを埋めていた。ハイプレスが封じられたサウサンプトンの攻撃は手詰まりになっていた。
セットプレーから得点できるのはチームとして大きな強みだ。イングランド代表はベスト4に入ったロシアワールドカップで11得点中5得点を(PKを除く)セットプレーから決めているが、サウサンプトンも負けていない。今季は得点の1/3がセットプレーからで、7得点はチェルシーと並んでリーグ最多となっている。
前半終了間際にウォード=プラウズのCKから同点弾が生まれている。199cmのヤニク・ヴェスターゴーアは身長で7cm上回るアダム・ウェブスターの上からボールを叩いた。ブライトンはマンマークではなく、長身の5人がゴール前のゾーンを埋めていたので、ヴェスターゴーアは思い切り助走をつけて跳ぶことができた。正確なキックを持つウォード=プラウズであればヴェスターゴーアの頭に合わせるのはそこまで難しくなかっただろう。
ウォード=プラウズは今季すでに3得点を直接FKから決めており、アストン・ヴィラ戦では1試合に2つも成功させた。直近のマンチェスター・ユナイテッド戦ではCKをヤン・ベドナレクに合わせて先制すると、直接FKを沈めて点差を2点に広げた。チームは逆転負けを喫したが、ウォード=プラウズは2得点すべてに絡んでいる。ウォード=プラウズのプレースキックは唯一無二の武器になっている。
トッテナムやチェルシーにはカウンターを食らって大量失点を喫した。ブライトン戦ではビルドアップが不安定で、カイル・ウォーカー=ピーターズの不用意なロストも目立った。チームとしてはまだまだ粗削りだが、見ていて面白いサッカーをしていることは間違いない。
ブライトン戦は先制されたが、CKとPKで逆転に成功した。お家芸を封じられても、勝ち点3を得たことが大きい。アーセナル、マンチェスター・シティ、リバプールとの対戦が残る前半戦を乗り切ることができれば、欧州カップ戦への道のりも拓けてくるだろう。
(文:加藤健一)
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【了】