長期的なプランで成長するクラブ
中国の投資会社フォースン・インターナショナル(復星国際)は2016年7月、ウォルバーハンプトンをスティーヴ・モーガンから買い取った際、代理人ジョルジュ・メンデスとタッグを組むことにした。
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復星国際はまずクラブのチェアマンにジェフ・シーを任命した。チェアマンのクラブに対する方針は、競争力を持ったチームとなり、順位を上げていくこと。プレミアリーグに復帰するために4500万ポンド(約63億円)の投資を行うということ。メンデスは中国企業の期待に応えようとした。そのために監督と数人の選手を紹介した。その監督こそがヌーノだった。
ウォルバーハンプトンでは、バレンシアや、ポルトの時とは異なり、ヌーノはすぐに結果を求められるようなことはなかった。復星国際とメンデスがヌーノに伝えたクラブのプランとは中期から長期的な視野に立ち、その中で結果を出すことであり、ヌーノも自分の考えをチームに植え付ける時間があることを知ったのだ。
2017年、ヌーノのウルヴス監督就任が決まると、UEFA監督ライセンスを取りにいったスコットランドで知り合った、ヌーノよりも10歳年下であるイアン・キャスロに連絡をとった。二人はスコットランド時代から友情を育み、キャスロはアシスタントコーチとしてリオ・アヴェからバレンシアに至るまでヌーノ監督に付き添っている。
その後キャスロはスコットランドリーグ1部のハーツ(ハート・オブ・ミドロシアン)の監督を務めるが、ウォルバーハンプトンで再びヌーノとともに働くことになったのだ。ヌーノの監督としての成功を支えてきたコーチングスタッフはリオ・アヴェ時代に築いた信頼がもとになっており、クラブは変わっても同じスタッフメンバーで固められている。
クラブを変えた2人の名手
資金の出所は中国企業であったが、ウルヴスはポルトガル人選手たちのチームと呼んでもよかった。ヌーノが監督に就任した2017/18シーズン、すでに7人のポルトガル人選手がいた。
FWのエウデル・コスタとイヴァン・カヴァレイロ(彼はすでに前シーズンに加わっている)さらにロデリック・ミランダ、ルベン・ヴィナグレ、ルベン・ネヴェス、ペドロ・ゴンサウヴェス、ディオゴ・ジョッタ。
多くの選手たちがまだ若い、22歳にも満たない選手たちである。ルベン・ネヴェスの躍動感溢れるプレーと、スピードがありゴールを決めるカヴァレイロとエウデル・コスタにより、ウォルバーハンプトンはチャンピオンシップで優勝を果たし、プレミアリーグへの昇格を決めた。
プレミアリーグへの昇格を果たしたことで、要求がさらに大きくなるのも当然のことだった。復星国際とメンデスのコンビはクラブの野望に答えなければいけないヌーノに対して、彼が希望する選手を集めた。
2018年夏にはポルトガル代表の2選手がクラブにやってくることとなった。GKのルイ・パトリシオとMFのジョアン・モウチーニョである。ルイ・パトリシオはポルトガルのスポルティング一筋でやってきた選手だが、そのシーズン、チャンピオンズリーグ出場を最終節の敗戦により逃したことで、練習場に暴徒化したファンによる襲撃を受けている。そのことで他のクラブへの移籍を望んでいた。
またジョアン・モウチーニョはモナコで優勝を果たし、次なる挑戦を探しているところだった。二人とも過去においてイングランドでプレーするのが夢だと話している。そんな二人だったから、ジョルジュ・メンデスがウルヴスの話を持ちかけるとすぐに前向きになった。
(文:ジョゼ・フレイタス)
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