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一体何が? モイーズ采配が的中!【ウェストハム対アストン・ヴィラ分析コラム】

プレミアリーグ第10節、ウェストハム対アストン・ヴィラが現地時間11月30日に行われ、2-1でホームチームが勝利している。ウェストハムはこれでリーグ戦3連勝。順位は5位にまで浮上した。今季アウェイ無敗だったアストン・ヴィラ戦ではデイビッド・モイーズ監督の采配も的中するなど、チームにはこれまでとは違った雰囲気がある。(文:小澤祐作)

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

勢いに乗るウェストハム

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【写真:Getty Images】

 今季のプレミアリーグは本当に読めない。近年リーグを牽引してきたリバプールとマンチェスター・シティはチャンピオンズリーグ(CL)も戦う中、選手の疲労、そして離脱などもあるので常にハイパフォーマンスを維持することが難しくなっており、勝ち点を取りこぼすことが珍しくなくなっている。

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 最高のスタートを切ったアストン・ヴィラやエバートンも失速中で、マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルも安定してポイントを稼ぐことができていない。開幕してそれほど日は経っていないが、“絶対的な存在”がいないので、上位争いはやはり例年よりも激しくなりそうな雰囲気を漂わせている。

 そんな中、ここ最近ぐんぐんと順位を上げているチームがある。それが、ウェストハムだ。

 デイビッド・モイーズ監督率いるクラブはニューカッスル、アーセナルとの開幕2試合を落とし連敗スタートとなったが、第3節ウォルバーハンプトン戦から第9節シェフィールド・ユナイテッド戦までわずか1敗。昨季16位という成績もあって今季は降格候補とも思われていたが、良い意味でその期待を裏切っている。

 そのウェストハムの勢いは現地時間11月30日に行われたプレミアリーグ第10節、アストン・ヴィラ戦でも失われることはなかった。

 ウェストハムは試合開始わずか2分でコーナーキックからアンジェロ・オグボンナが得点。いきなりリードを奪い、少し余裕を持って試合を進めることができた。

 ウェストハムは守備時、5バックで対応。ジャロッド・ボーウェンとパブロ・フォルナルスが相手センターバック2枚をサイドバックへのコースを切りながら見る形で、最前線ミカイル・アントニオはアンカーのドウグラス・ルイスをマーク。攻撃の核ジャック・グリーリッシュにはウラジミール・ツォウファルをマンマークでつけている。

 しかし、負傷明けであるアントニオのチェイスがハマらないこともあってか、なかなかボールの奪いどころを定められない。アストン・ヴィラに押し込まれてしまった。

 そして25分に失点。最も警戒しなければならないグリーリッシュに仕事を与えてしまった。

 先述した通りグリーリッシュの担当はツォウファルだったが、相手の背番号10が左ハーフスペースでボールを受けた瞬間に左タッチライン際をコナー・フーリハンがスプリント。ツォウファルはそちらへの警戒を優先したことで、グリーリッシュがフリーに。そのままドリブルでシュートコースを作られ、同点弾を浴びてしまったのである。

的中したモイーズ采配

 結局、前半は1-1のまま終了。アストン・ヴィラの攻撃が良く、ウェストハムはトマシュ・ソーチェクらが守備に追われるなど、効果的なカウンターを発動することができていなかった。

 そんな中、いつもは交代が遅いモイーズ監督がハーフタイムに動く。トップコンディションではなかったアントニオを下げセバスティアン・ハラー、アルトゥール・マスアクを下げてモハメド・ベンラーマを投入。システムを4バックへと変更したのである。

 すると後半開始わずか1分、ペナルティーエリア角でボールを持ったベンラーマがクロス。これに反応したボーウェンが頭でシュートを流し込み勝ち越し。いきなりモイーズ監督の選手交代が的中したのである。

 その後もハラーはエネルギッシュにプレー、ベンラーマも主に守備面で集中力高くプレーするなど、モイーズ監督の期待に応えた。そして試合は2-1のまま終了。ウェストハムは今季アウェイ無敗だったアストン・ヴィラに勝ったことで5位に浮上、そしてリーグ戦3連勝を飾ることになった。

 モイーズ監督が試合後「今夜はうまくプレーできなかった」と話した通り、すべてが完璧だったわけではない。攻守に質と量をもたらすソーチェクは最後まで守備に追われて攻撃面でなかなか良さを出せず、前半の失点があった通りグリーリッシュには手を焼いた。そしてオリー・ワトキンスのPK失敗、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)による微妙なオフサイド判定に救われた部分もあった。

 ただ、モイーズ監督が早めの決断を下し、選手もシステムも変更。そこですぐさま1点を奪いリードを得る。これまでには、なかなか見られなかった形である。今季のウェストハムは一味違うのかもしれない。

(文:小澤祐作)

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