レスター、圧勝の理由。偶然ではない、確かな前兆
マディソンの放ったシュートは、美しい放物線を描き、懸命に手を伸ばすGKエデルソンの手の届かないコースへ吸い込まれていった。
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2019/20シーズンのプレミアリーグ第3節、レスター・シティによるマンチェスター・シティ戦での4点目のゴールだ。77分のこのゴールで、スコアは4対1。残り13分で3点差となり、このゴールは実質試合を決定づける1点となった。シティのペップ・グアルディオラ監督はベンチで何度も首を横に振り、苛立ちを隠せない。こんなはずではなかった。そんな思いが見て取れる。
その後、シティは1点を返すも、レスターは組織的な攻撃でPKを獲得し、5点目を奪う。5対2でレスターの勝利。誰がこのスコアを予想しただろう。試合前、さらには試合が始まって37分のヴァーディーのゴールまではレスターが勝利することすら想像するのは難しかったかもしれない。
レスターが最初にチャンスを作りかけたのは21分。攻撃からCKを獲得した。そして25分20秒のジャスティンがゴール前で折り返したシーン。これらは偶然ではない。どちらも自陣からのビルドアップで相手のプレスを剥がしてチャンスを作ったものだ。チャンスは少なかったが、確かな前兆はあった。
5-4-1へのシステム変更。その狙いとは?
そして、迎えた37分。ヴァーディーのゴールが生まれる。PKでのゴールであるが、その前にペナルティーエリア内で決定機を作った。レスターの前半のシュートはこのPKの1本。対するシティは5本。スコアは1対1。スタッツだけ見ればレスターは運良く得点をしたがシティが圧倒的にゲームを支配している、と推察する人も多いだろう。だが、ブレンダン・ロジャーズ監督、そしてレスターの選手たちは勝利を信じて疑わなかったはずだ。自分たちの戦い方は間違っていない。後半に逆転できる、と。
この試合を見ていく中で、わかりやすく、そして最大のポイントは、レスターが、システムを今季のこれまでの[4‐3‐3]([4‐2‐1‐3]もしくは[4‐1‐2‐3])から、[5‐4‐1]に変更して試合に臨んできたことだろう。
シティの攻撃は、相手の最終(DF)ラインとMFのラインの間、もしくは最前線に、5人の選手が並ぶ形になることが多い。それを4バックで守るとなると、相手の5人に対して4人で守ることになり、対応は容易ではない。4人の選手の位置取りと横ずれが極めて重要になる。
パスの出し手のクオリティが高くなければ守れる可能性は上がり、逆にボールを奪った際に相手の5選手を置き去りにするカウンターをしやすくなるメリットもあるが、相手との力関係がポイントとなる。ロジャーズ監督はシティを相手にそれは困難だと判断したのだろう。5人に対して5人で対応する、5バックという策を取った。
(文:柴村直弥)
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