リバプールは野戦病院状態でも…
モハメド・サラーはいなかった。だが、ディオゴ・ジョッタがいた――。
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現地22日に行われたプレミアリーグ第9節、リバプールはフィルジル・ファン・ダイクを始め、ジョー・ゴメス、トレント=アレクサンダー・アーノルド、ジョーダン・ヘンダーソンら怪我人だらけの状況に加え、サラーがエジプト代表での活動中に受けた新型コロナウイルスの検査で陽性反応。野戦病院状態でレスターをホームに迎えた。
一方でファビーニョが戦列に復帰するなど、明るい材料がなくもない。レスター戦でブラジル代表MFはジョエル・マティプとCBコンビを組んで出場。試合中、基本的にレスターは[5-4-1]の守備陣形で自陣に構えてほとんど前に出て来なかった。よって、CBコンビが脅威にさらされることはなかったが、チーム戦術を熟知するファビーニョが入ることで最終ラインの安定に一定の目途が立ったと言えるのではないか。
21分、幸運にもCKからジョニー・エバンスのオウンゴールで先制したリバプールは、敵のワントップ、ジェイミー・ヴァーディーの両脇のスペースを使ってビルドアップを試みる。レスターの2列目の選手が獲りに来れそうで来れないところで、ジョルジニオ・ワイナルドゥムやカーティス・ジョーンズがボールを受け、また、時折トップのロベルト・フィルミーノも降りてくる。
そしてサディオ・マネやディオゴ・ジョッタ、ナビ・ケイタらがラインの間を中心に動いて揺さぶりを掛け、大外の左SBアンドリュー・ロバートソンを使いながら、ジャブを打ち続けるリバプール。こうした形が実を結んだのが、41分のことだ。
いったん右サイドでボールを回して、レスターの守備陣形を右に寄せて、ジョーンズが大きく左にサイドチェンジ。タッチラインの近くでボールを受けたロバートソンは、対面のマーク・オルブライトンをかわして左足でゴール前にクロスを入れる。そこに飛び込んできたのが、ジョッタだ。9月に加入して以来、チャンピオンズリーグ(CL)も含め公式戦7ゴールと勢いに乗るポルトガル代表FWは、2列目から飛び出してきて、頭で合わせて2点目を奪った。
ジョッタの活躍ぶりがカギ
離脱者が後を絶たない中、このジョッタの活躍こそが、何より明るい材料なのではないか。ユルゲン・クロップ監督からすれば、過密日程の中で、FW陣のローテーションに目途が立ったところもあるだろう。例えばサラーが復帰したにもかかわらず、直後にマネを欠いたとしても、ジョッタを起用すれば、前線のクオリティを保つことはできるのではないか。
なぜジョッタが加入してすぐにこれだけ爆発できているかというと、まず前所属のウォルバーハンプトンで実績を積み重ねてきたことが大きいだろう。チャンピオンシップ(2部)時代も含めて計3シーズンをウルブスで過ごしたジョッタは、言わば“イングランドの水”にすっかり馴染んでいる。そこでリバプールの戦術にすんなりフィットしたことで、高いシュート技術に支えられた得点力を発揮できているのだろう。
まだ序盤戦を消化したに過ぎないが、ここまでのパフォーマンスを継続できれば、マネ、フィルミーノ、サラーの不動の3トップの代役に留まらず、ポジション争いに食い込んでいくのは間違いない。
鬼気迫るジョッタの活躍ぶりが、リバプールが野戦病院状態で戦い抜く上でのカギとなりそうだ。
(文:本田千尋)
【了】