アストン・ヴィラは今季3敗目
ブライトンは相手に生まれた一瞬の隙を突いて2点を決めた。
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キックオフからアストン・ヴィラはボールを握った。しかし、フィールドプレーヤー全員が敵陣に入ってプレーしていたところの裏を取るように、ブライトンのアダム・ララーナからスルーパスが通る。これにダニー・ウェルベックが反応してGKとの1対1の局面を迎えると、冷静にその頭上を通してゴールネットを揺らした。
後半早々に獲得したFKからアストン・ヴィラは追いつくが、ブライトンが勝ち越しに成功する。パスカル・グロスのグラウンダーの折り返しがファーサイドまで渡ると、走りこんできた左ウイングバックのソリー・マーチが右足でゴールを決めた。
リードしたブライトンは交代カードを切りながら逃げ切りを図る。FWニール・モペイに替えて長身DFのダン・バーンを入れ、5-4-1から4-4-2に変更。4バックというよりは6バックと表現した方がいいかもしれない。ボックス内を人で埋めて、アストン・ヴィラの攻撃を凌ごうとした。
後半終了間際にタリック・ランプティが立て続けにイエローカードをもらい、ブライトンは1人少ない状況となる。これにつけこもうとアストン・ヴィラは最後の力を振り絞って攻めると、勝ち越しゴールを決めたマーチがトレゼゲを倒してしまい、マイケル・オリバー主審はPKの判定を下した。
しかし、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の助言があり、オリバー主審がオン・フィールド・レビュー(OFR)を行うと、ファウルの判定は取り消されてしまう。同点のチャンスを失ったアストン・ヴィラは今季3敗目を喫した。
指揮官が残した敗戦の弁
アストン・ヴィラのディーン・スミス監督は「フラストレーションが溜まる」とPKの取り消しを嘆いたが、これが直接の敗因とは言えないだろう。実際、このシーンもマーチの出した足はボールにチャレンジしており、OFRの結果は支持できるものだった。
「たくさんのチャンスを生み出した。それを活かしていれば、この試合には勝っていただろうね」
スミス監督の敗戦の弁は負け惜しみでもなく、ピッチで起きた事実を述べたまでである。ボールを握る時間もアストン・ヴィラの方が長く、シュートは相手の倍以上も放った。しかし、終わってみればスコアは1-2。開幕4連勝を成したチームはここ4試合で3敗を喫している。
アーセナル戦はボール保持率で下回りながらも、3点を奪って快勝した。しかし、リーズやサウサンプトンといったトランジションやショートカウンターに秀でた相手に対して失点を重ねてしまった。
アストン・ヴィラが今季挙げた5勝のうち、4試合でクリーンシート(無失点)を達成している。快進撃は献身的なプレッシングに支えられたディフェンスから生まれたといっていい。しかし、アストン・ヴィラの連勝を止めたリーズは3失点、サウサンプトンは4失点、無失点に抑えたアーセナル戦を挟んで迎えたブライトン戦は2失点を喫している。
グリーリッシュらが低調だった理由
アストン・ヴィラはジョン・マッギンとドウグラス・ルイスのダブルボランチが精力的に動いて前線に展開する。グリーリッシュを中心とするアタッカーは速攻でも遅攻でも個人技と連係を織り交ぜながら相手ゴールに迫っていく。
しかし、この試合のグリーリッシュはフィニッシュやラストパスで精度を欠き、トレゼゲも決定機を逃す場面があった。タフにピッチを動き回ることが身上のマッギンも、ダイナミックさが影を潜めていた。
この試合はインターナショナルマッチウィーク明けだった。代表活動には10人が参加しており、ブライトン戦に出場した中には8人が含まれていた。
イングランド代表のジャック・グリーリッシュとスコットランド代表のジョン・マッギンは7日間で3試合に先発した。イングランド代表のタイロン・ミングスも3試合に出場。ブラジル代表のドウグラス・ルイスとエジプト代表のトレゼゲは2試合に先発し、それぞれ南米とアフリカから戻ってきたばかり。彼らのコンディションの悪さは明らかだった。
グリーリッシュのように代表チームでも主力としてプレーしているのは、クラブでの活躍があってこそ。しかし、先発メンバーを固定してきたスミス監督にとって、彼らのコンディションは生命線である。ビッグクラブであれば避けては通れない道だが、アストン・ヴィラにとっても悩ましい問題となっている。
ミッドウィークにもプレミアリーグが差し込まれる過密日程は来月中旬にも訪れる。1勝3敗と苦しむアストン・ヴィラだが、本当の正念場はこの先に待っている。
(文:加藤健一)
【了】