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実質補強ゼロ。レンタル復帰組も…
いつになく静かな夏になった。
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例年であれば大金を投じてスター選手を獲得し、サンティアゴ・ベルナベウでフロレンティーノ・ペレス会長とともに大々的な入団セレモニーを行うのが恒例だが、今年はそれがなかった。
余剰戦力の放出が進んだ一方で、移籍金を支払って獲得した新戦力はゼロ。トップチームに加わったのは期限付き移籍から復帰してきた若手選手のみというレアル・マドリードにとって異例の状況である。
しかも、復帰組の若手選手たちにレギュラーを確約されるような実力者はいない。レアル・オビエドから戻ってきたウクライナ代表GKアンドリー・ルニンや、バイエルン・ミュンヘンで欧州制覇を経験したDFアルバロ・オドリオソラも、基本的にはベンチに座り、カップ戦やターンオーバー時にチャンスを得るのがやっとだろう。
唯一、レギュラー争いに加わってくる可能性があるのはレアル・ソシエダで評価を高めて復帰したノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴールだ。
開幕から2試合連続で先発起用され、ジネディーヌ・ジダン監督からの期待も大きい。プレッシャーの厳しいエリアを苦にしないキープ力、広い視野と卓越したプレービジョンが光るパスセンス、そして精度抜群の左足から繰り出されるラストパスなど、ソシエダで発揮していた様々な魅力は、マドリーでも大きな武器になるはずだ。
もし新戦力ゼロの状態でチーム力を向上させるなら、既存の選手たちの底上げを図るしかない。例えば昨季はコンディション不良が続いて全く振るわなかったエデン・アザールや、なかなかチームに馴染めなかったルカ・ヨヴィッチ、大けがを克服したマルコ・アセンシオらが健康体を保って競争に加わってくれば、戦力アップと捉えて差し支えないだろう。
特にアザールが万全のコンディションを維持し、絶大なる個の力をチームに還元できれば、攻撃の迫力は著しく向上するに違いない。サイドを切り裂くヴィニシウス・ジュニオールやロドリゴ、得点力の高いアセンシオ、1人で違いを生み出せるアザールが揃えば2列目の選手層は格段に厚くなる。
一方で、既存戦力の中で替えの利かない選手もハッキリしてきている。センターバックのセルヒオ・ラモス、中盤アンカーのカゼミーロ、そして最前線のFWカリム・ベンゼマの3人は特に代役不在のスペシャルな実力を発揮している。
彼らに加えてルカ・モドリッチやマルセロといったフル稼働の厳しくなってきたベテランの健康を維持し、層の厚いポジションは競争で若手の成長を促しながら戦っていけるか。これまで以上にジダン監督のマネジメント手腕が問われるシーズンとなりそうだ。
補強・総合力評価
IN
GK:アンドリー・ルニン(レアル・オビエド/期限付き移籍から復帰)
DF:アルバロ・オドリオソラ(バイエルン・ミュンヘン/期限付き移籍から復帰)
MF:マルティン・ウーデゴール(レアル・ソシエダ/期限付き移籍から復帰)
OUT
GK:アルフォンス・アレオラ(PSG/期限付き移籍期間満了→フラム/期限付き移籍)
GK:ルカ・ジダン(ラシン・サンタンデール/期限付き移籍から復帰→ラージョ・バジェカーノ)
DF:アクラフ・ハキミ(ボルシア・ドルトムント/期限付き移籍から復帰→インテル)
DF:セルヒオ・レギロン(セビージャ/期限付き移籍から復帰→トッテナム)
MF:ハメス・ロドリゲス(エバートン)
MF:ヘイニエル(ボルシア・ドルトムント/期限付き移籍)
MF:オスカル・ロドリゲス(レガネス/期限付き移籍から復帰→セビージャ)
MF:久保建英(マジョルカ/期限付き移籍から復帰→ビジャレアル/期限付き移籍)
FW:ガレス・ベイル(トッテナム/期限付き移籍)
FW:ボルハ・マジョラル(レバンテ/期限付き移籍から復帰→ローマ/期限付き移籍)
補強評価:D
移籍金を支払って獲得した新戦力はおらず、期限付き移籍から復帰した選手たちも現状は控えの域を出ない。実質補強ゼロで、戦力的な上積みがあったとは言えない。レアル・ソシエダでブレイクしたウーデゴールが、どこまでレギュラー争いに絡んでこられるか。数少ないプラス要素だ。
総合評価:A
ラ・リーガを制したチームの基盤はほぼ維持されている。スペインでも欧州でも揃っている選手たちのクオリティはトップクラスだ。ただ、戦力の入れ替わりがほぼないため、全員が平等に1年分の歳を重ねることになる。当然ながらモドリッチを筆頭にセルヒオ・ラモスやベンゼマといったベテラン陣は限界に近づいていくため、欧州タイトルの奪還を果たすには、彼らだけに依存しないチーム作りが求められる。
【了】