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クーマン監督の下でスカッド大刷新
今夏、悪い意味でサッカー界を賑わせたのはバルセロナだった。
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チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のバイエルン・ミュンヘン戦で2-8と歴史的な大敗を喫した後、キケ・セティエン監督が退任。さらには絶対的エースのリオネル・メッシにも退団の噂が流れるなど、クラブは大きく揺れていたのである。当然、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長には多くの批判が集まっていた。
そんな中、バルセロナは新監督にロナルド・クーマンを迎えた。そしてクラブは今夏、ルイス・スアレス、アルトゥーロ・ビダル、イバン・ラキティッチら新指揮官の下で構想外となった選手たちを放出。スカッドの大刷新を図っている。
一方で補強面。まず、バルセロナは財務的な問題を解決するためにアルトゥールとのトレードでミラレム・ピャニッチをユベントスから連れてきた。24歳を放出して30歳を獲得したことに不満の声も少なからず挙がっているようだが、ピャニッチも実力的には申し分ないことは確かだ。
さらにバルセロナは、昨シーズンの時点でフランシスコ・トリンコン、ペドリという2選手の獲得を決めていた。両者ともに若くいきなりファーストチョイスに躍り出ることは難しいかもしれないが、訪れたチャンスをモノにし、シーズン中にどこまで成長できるかは非常に楽しみである。
クーマン監督就任後に移籍金を払って獲得した選手は一人に留まった。19歳のオランダ人DFセルジーニョ・デストだ。移籍金は最大32億円になるというが、その前にクラブはネウソン・セメドを約47億円という金額でウォルバーハンプトンに売却している。バルセロナにしては珍しく「お買い物上手」だったと言えるだろう。
さらに、移籍金を支払ったわけではないが、バイエルンでCL制覇に貢献したフィリッペ・コウチーニョがレンタルから復帰。同選手はすでにクーマン監督用いる4-2-3-1システムのトップ下として貴重な戦力になっている。リバプール退団後はなかなか芽が出ていないが、ここにきて本領発揮するかもしれない。
そして、最も大きな「補強」となったのは何と言ってもメッシの残留だろう。バルトメウ会長を批判していたが、ピッチ内ではチームに勝利をもたらすためにモチベーション高くプレーしている。来年、その先のことはわからないが、ラ・リーガの覇権奪回、そしてCLでの優勝を目指すバルセロナにとってメッシという異次元の男がいるのは、かなり心強いと言えるだろう。
一方で不安な部分も多い。まずは左サイドバックだ。ジョルディ・アルバが絶対的な地位を築いているが、そのバックアッパーはジュニオール・フィルポと心許ない。実際、今夏には何名かの獲得候補が挙がっていたが、結果的に一人も獲ることができなかったのは痛手と言える。
また、センターバックも不安。ジェラール・ピケとクレマン・ラングレが不動だが、その控えは怪我がちなサミュエル・ウンティティと経験値が豊富ではないロナウド・アラウホだ。アタックのチャンスはまだ残されているとはいえ、今夏にエリック・ガルシアを逃した影響は少なからずあるかもしれない。
元バルセロナのリバウド氏も話した通り、アトレティコ・マドリードへ去ったスアレスの後釜を確保できなかったのも痛い。負傷癖のあるウスマンヌ・デンベレを売却できず、クーマン監督の求めたメンフィス・デパイの加入も実現とはならなかった。財政的に厳しい状況であったことは理解できるが、このあたりの不安がシーズン中に響く可能性は否めない。
補強・総合力評価
IN
DF:セルジーニョ・デスト(アヤックス)
MF:ミラレム・ピャニッチ(ユベントス)
MF:マテウス・フェルナンデス(パルメイラス)
MF:ペドリ(ラス・パルマス)
MF:フィリッペ・コウチーニョ(バイエルン・ミュンヘン/期限付き移籍期間満了)
FW:フランシスコ・トリンコン(SCブラガ)
OUT
DF:ジャン=クレア・トディボ(ベンフィカ/期限付き移籍)
DF:ネウソン・セメド(ウォルバーハンプトン)
DF:ムサ・ワゲ(PAOK/期限付き移籍)
DF:セルヒオ・アキエメ(アルメリア/期限付き移籍)
DF:フアン・ミランダ(ベティス/期限付き移籍)
MF:モンチュ(ジローナ/期限付き移籍)
MF:アルトゥール(ユベントス)
MF:アルトゥーロ・ビダル(インテル)
MF:イバン・ラキティッチ(セビージャ)
MF:マルク・ククレジャ(ヘタフェ)
MF:カルレス・ペレス(ローマ)
MF:ラフィーニャ(パリ・サンジェルマン)
MF:アルダ・トゥラン(ガラタサライ)
FW:ルイス・スアレス(アトレティコ・マドリード)
補強評価:C
セルジーニョ・デストやフランシスコ・トリンコンら楽しみな若手が加わったが、クーマン監督の求めたデパイやCBの層に厚みをもたらしたであろうE・ガルシアを逃したのは少なからず痛手と言えるだろう。J・アルバの負担が大きい左SBにも新戦力を加えることはできなかった。今夏の補強が成功したとは言い難い。
総合評価:B
メッシの残留は大きく、レンタルから復帰したコウチーニョもクーマン監督の下で戦力となっている。基本スタメンを見れば、ラ・リーガ制覇はもちろんCLでも期待感が持てることは確かだ。しかし、選手層の厚さという点では他のクラブに劣る。主力選手への負担は想像以上に大きくなるだろう。長いシーズンの中、クーマン監督がどのようにマネジメントするか注目したい。
【了】