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カバーニらの獲得は大きいが…
オーレ・グンナー・スールシャール監督体制の2年目だった昨季は序盤戦こそ躓いたものの、冬の補強がハマり年明け以降勝ち点を荒稼ぎ。3位でリーグ戦を終え、見事チャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得している。結果的には成功を収めたシーズンになったと言えるだろう。
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そして迎えた今季、マンチェスター・ユナイテッドは昨季に引き続きプレミアリーグでの上位進出、さらに2年ぶりの出場となったCLでの躍進を狙う。その目標達成に向け、クラブは今夏の移籍市場で何名かの実力者を加えることに成功している。
まず、3900万ユーロ(約46億8000万円)という移籍金でアヤックスからドニー・ファン・デ・ベークを獲得した。オランダの未来を担うであろう逸材であり、攻守両面で強みを発揮できる選手だ。ポール・ポグバ、ネマニャ・マティッチ、ブルーノ・フェルナンデス、スコット・マクトミネイ、フレッジらがいる中盤にさらに厚みが増すという意味でも、申し分ない補強となった。
ブランドン・ウィリアムズの荒々しさが消えず、ルーク・ショーの負担が大きかった左サイドバックにはポルトからアレックス・テレスを加えた。他のビッグクラブも獲得を狙っていた総合力の高いSBで、大きな戦力となることは間違いない。この男の加入によって、ショーをセンターバックに回した3バックシステムも採用しやすくなるはずだ。
そしてパリ・サンジェルマン(PSG)を退団した世界的ストライカーのエディンソン・カバーニが加入。セリエA得点王1回、リーグ・アン得点王2回の実績を持つ同選手の力と経験値はユナイテッドにとって大きな武器になるだろう。伝統ある「7番」を与えられたことからも、期待値の高さは明らかだ。
恐らくは昨季まで1トップを務めたアントニー・マルシャルがサブに回ることになるが、昨季リーグ戦17得点を挙げたフランス人FWが控えにいることは心強い。彼の場合はウイングでも十分機能するという点も大きい。そういった意味でも、やはり純粋な「9番」タイプをフリーで獲得できたのは、クラブにとって満足いく結果と言えるだろう。
また、ユナイテッドはアタランタからアマド・ディアロ(正式加入は来年1月)、ペニャロールからファクンド・ペリストリを獲得。両者ともに18歳のウインガーと、将来が楽しみである。
ただ、今夏の移籍市場でユナイテッドは最も補強すべきポジションに選手を加えることができなかった。それが、CBだ。
ハリー・マグワイア、ヴィクトル・リンデロフの両者は安定感という意味ではまったく物足りず、エリック・バイリーは怪我が多くフル稼働できるか不安。テデン・メンギという楽しみな逸材はいるが、主力として数えるのは時期尚早。今のユナイテッドのウィークポイントであることは明らかだった。
実際、今夏の獲得候補にはダヨ・ウパメカノやカリドゥ・クリバリといった選手の名があがっていたが、結局は補強なしに終わってしまった。今季プレミアリーグ3試合で実に12失点とさっそく守備の不安が浮き彫りとなっているが、果たして今後立て直していけるのだろうか。
補強・総合力評価
IN
GK:ディーン・ヘンダーソン(シェフィールド・ユナイテッド/期限付き移籍期間満了)
DF:マルコス・ロホ(エストゥディアンテス/期限付き移籍期間満了)
DF:アレックス・テレス(ポルト)
MF:ドニー・ファン・デ・ベーク(アヤックス)
FW:エディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)
FW:ファクンド・ペリストリ(ペニャロール)
FW:アマド・ディアロ(アタランタ)※正式加入は来年1月
OUT
GK:ジョエル・ペレイラ(ハダースフィールド/期限付き移籍)
DF:クリス・スモーリング(ローマ)
DF:ディオゴ・ダロ(ミラン/期限付き移籍)
DF:キャメロン・ボースウィック=ジャクソン(オールダム・アスレティック)
MF:アンドレアス・ペレイラ(ラツィオ/期限付き移籍)
FW:アレクシス・サンチェス(インテル)
FW:タヒス・チョン(ブレーメン/期限付き移籍)
補強評価:B
カバーニ、ファン・デ・ベーク、A・テレスと即戦力級を3人加えることができたのは大きい。それぞれの選手の起用法にも幅が生まれることは確かで、層の厚みを考えても申し分ない補強になったと言えるはずだ。しかし、やはり懸念点だったCBの戦力をアップできなかったのは痛手。今後もこのあたりの影響は出てくるだろう。
総合評価:D
昨季CL出場権獲得に貢献した主力が残留。そこへカバーニやファン・デ・ベークらが加わるなど、ネームバリュー的には申し分ない。しかし、このチーム最大の問題はスールシャール監督。未だ明確な戦い方が存在せず、選手個々の能力に頼ったゲームが散見されるのが事実だ。チームとしての総合力で考えると、やはり低評価にならざるを得ないだろう。
【了】