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王者の余裕、抜け目ない補強
昨季のリバプールが30年ぶりのリーグ優勝を早々に決めた。1度も2位に転落することなく首位を独走、7試合残しての優勝決定は史上最速記録となった。
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記録ずくめの優勝を成し遂げたリバプールは、連覇に向けて抜け目のない補強を施している。アダム・ララーナ、デヤン・ロブレン、ナサニエル・クラインといったクロップ政権初期の主力メンバーが去ったものの、昨季のコアメンバーは揃って残留。これまで懸念されていたバックアッパーの薄いポジションに適任者を迎え入れた。
まずは、左サイドバック。昨夏のアルベルト・モレーノ退団以来、本職はアンドリュー・ロバートソンのみとなっていた。これまではジェームズ・ミルナーが、昨季終盤は若いネコ・ウィリアムズが試されていたが、右利きの両者とはプレースタイルも異なるため、左サイドバックのバックアッパーを必要としていた。
リバプールに今夏加わったのが、ギリシャ代表のコスタス・ツィミカスだ。オリンピアコスの下部組織出身で、ギリシャ代表でもプレーするツィミカスは、総合力の高い左サイドバックだ。クロスの精度の高さや果敢なオーバーラップはロバートソンを彷彿とさせるものがあり、チームにフィットしていけば十分な戦力になるだろう。
前線の控えにはジェルダン・シャキリ、ディボック・オリギ、南野拓実と枚数こそ揃っていたが、レギュラー陣とのクオリティの差が目立っていた。新加入のディオゴ・ジョッタは彼らに引けをとらないポテンシャルを持っている。
昨季はウォルバーハンプトンで公式戦16得点をマークし、ポルトガル代表にも定着。23歳と若く、推進力のあるドリブルとディフェンスへの貢献度も高さは魅力で、リバプールにフィットするタイプの選手と言えるだろう。
中盤はメンバーこそ揃っているものの、持病を抱えるジョーダン・ヘンダーソン、怪我の多いアレックス・オックスレイド=チェンバレンがおり、ファビーニョとミルナーが最終ラインでも起用されることを考えると手薄になりうる。チアゴ・アルカンタラはそれを埋める適任者で、なおかつゲームメイカーとして試合の流れを変えられる存在でもある。実力は十分で、数々のタイトルを獲得してきた経験値もチームにとっては大きなプラスになるだろう。
昨季は早くに優勝を決めたことで、今季に向けた準備を前倒しすることができたのも大きい。ネコ・ウィリアムズやカーティス・ジョーンズが経験を積み、ナビ・ケイタも本領発揮の兆候を見せている。プレシーズンでは南野拓実も結果を出しており、底上げという部分にも今季は期待ができる。
70年代から80年代にかけて11度のリーグ優勝を誇ったリバプールは、再びタイトルの常連へ足を踏み入れつつある。ライバルたちの対策はより一層進んでいくが、連覇に向けて盤石な布陣を整えたと言っていいだろう。
補強・総合力評価
IN
GK:マルセロ・ピタルガ(フルミネンセ)
DF:コスタス・ツィミカス(オリンピアコス)
MF:チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)
MF:ハリー・ウィルソン(ボーンマス/期限付き移籍満了)
MF:ベン・ウッドバーン(オックスフォード・ユナイテッド/期限付き移籍満了)
FW:ディオゴ・ジョッタ(ウォルバーハンプトン)
OUT
GK:ロリス・カリウス(ウニオン・ベルリン/期限付き移籍)
GK:アンディ・ロナーガン(契約満了)
DF:デヤン・ロブレン(ゼニト)
DF:ナサニエル・クライン(契約満了)
MF:アダム・ララーナ(ブライトン)
MF:マルコ・グルイッチ(ポルト/期限付き移籍)
FW:リアン・ブリュースター(シェフィールド)
FW:オビエ・エジャリア(レディング)
FW:セイ・オジョ(カーディフ/期限付き移籍)
FW:タイウォ・アウォイニ(ウニオン・ベルリン/期限付き移籍)
補強評価:A
ツィミカスとジョッタの加入により、左サイドバックと前線は選手層の厚みを増した。本職が3人しかいないセンターバックは心許ないが、ファビーニョも適性を見せており、大きな穴とはならないだろう。
総合評価:S
3年目のナビ・ケイタや冬に加入した南野拓実も徐々にチームにフィットし、戦力の厚みを感じさせるスカッドになった。主力選手の勤続疲労が心配されるものの、リーグ優勝や欧州制覇の大本命であることは間違いない。
【了】