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Jリーグ 4年前

渡邉晋が語る、ベガルタ仙台のポジショナルプレーはこうして生まれた。偶然の産物だった仙台スタイル【ポジショナルプレー前夜 前編】

ゴールからの逆算、すなわち「良い立ち位置」を追い求め続けた監督時代の6年間を時系列で振り返りながら、いまだベガルタ仙台サポーターから絶大な支持を得る「知将」の戦術指導ノウハウをあますところなく公開した、渡邉晋氏初の著書『ポジショナルフットボール実践論』から、仙台が「ポジショナルプレー」と評価されるスタイルのベース築く年を振り返った章を、発売に先駆け一部抜粋して前後編で公開する。今回は前編。(文:渡邉晋)

text by 渡邉晋 photo by Atsushi Mihara

急遽ドルトムントが練習クローズに…

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【写真:三原充史】

 試行錯誤があり、私たちは最終的に[3-4-3]という配置にたどり着きました。システムは結果として帰結したものです。まず、マインドを変えて攻撃で主導権を握る。そのためには高い位置で幅を取る。それを選手に提示してトライをした結果、[3-4-3]の配置のほうが彼らには適していた、という流れです。決してシステムありきではない、ということは強調しておきます。

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 2016年は最終的に[3-4-3]のイメージを残して終わりました。それが翌年につながっていくのですが、実はその間、オフシーズンにも布石がありました。

 私は毎年、オフになると欧州へ行くことにしています。特に「このクラブを見たい」という目的があるわけではありません。最低でも1週間、きちんとトレーニングを見て、週末のゲームにどのように向かうのか。その流れが見られるチームに行きたいと、コーディネーターにはお願いしています。2016年も最初はドルトムントを見ることができそうだという話があり、ドイツ行きを決めていました。

 ところが、これは余談ですが、実際に行く直前になって、当時監督だったトーマス・トゥヘル(現在はパリ・サンジェルマンを指揮)のチームが下降線で、ドルトムントの練習がクローズになってしまいました。本当に親しい人ですら入れない、危機的状況ということでした。

ヒントとなった内田篤人との観戦

 そこで現地に着いてからヘルタ・ベルリンへ行き、当時は原口元気選手がいたので、彼のつながりから何とかお願いをして練習を見させてもらいました。よくある旅のハプニングですが、周囲の協力もあり、臨機応変に過ごしながら、試合もいくつか見ることができました。

 すると、何の偶然か、そのほとんどが3バックのチームでした。シャルケ、ドルトムント、チェルシー……当時は流行りもあったと思います。もちろん、同じ3バックでも、チームによってやり方は違いました。

 シャルケではそのとき、怪我でベンチ外だった内田篤人選手がいたので、彼と一緒に試合を見ながら話を聞かせてもらいました。当時、ドイツは3バックが多かったのですが、彼が言うには、ボランチやアンカーに入る選手のキャラクターによって、守備的になるチーム、攻撃的になるチームに分かれると。

(文:渡邉晋)

ベガルタ仙台でポジショナルフットボールを確立した渡邉晋監督の著書が刊行。いまも仙台サポーターから絶大な支持を得る「知将」の戦術指導ノウハウが…! 詳細は↓をクリック。

9784862555724

『ポジショナルフットボール実践論 すべては「相手を困らせる立ち位置」を取ることから始まる』


定価:本体1700円+税

≪書籍概要≫
渡邉晋は《切る》《留める》《解放》など独自の言語を用い、ベガルタ仙台に「クレバーフットボール」を落とし込んだ。実は選手を指導する際、いわゆる『ポジショナルプレー』というカタカナ言葉は一切使っていない。
にもかかわらず、結果的にあのペップ・グアルディオラの志向と同じような「スペースの支配」という攻撃的なマインドを杜の都に浸透させた。フットボールのすべては「相手を困らせる立ち位置」を取ることから始まる――。
ゴールからの逆算、すなわち「良い立ち位置」を追い求め続けた監督時代の6年間を時系列で振り返りながら、いまだ仙台サポーターから絶大な支持を得る「知将」の戦術指導ノウハウをあますところなく公開する。

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【了】

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