前半からファインプレーを披露
前節のミラン戦を0-2で落としたボローニャは、ホーム開幕戦でシニシャ・ミハイロビッチ監督の元チームメイト(ラツィオ時代)であるファビオ・リヴェラーニ監督率いるパルマと激突。連敗を避けるためにも、是が非でも勝ち点が欲しい一戦となった。
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開幕節でズラタン・イブラヒモビッチ相手に健闘をみせた日本代表DFの冨安健洋は、この日もセンターバックの一角として先発出場。相棒はブラジルのベテランDFであるダニーロが務めることになった。
冨安の見せ場は試合開始から間もなくしてやって来た。1分、ジェルビーニョに右サイドを崩され、ペナルティーエリア内へ簡単に侵入を許したが、カバーに入った冨安が最後の最後で身体を投げ出してシュートをブロック。いきなり失点のピンチを防ぐ、ファインプレーを披露したのだ。
この一つのアクションだけでも、冨安の集中力の高さというものがよくうかがえた。相手FWを剥がして縦にパスを送り込むなど、ビルドアップ面での落ち着きぶりもチーム全体に安心感を与えていた。
32分、ボローニャはユライ・クツカにペナルティーエリア角のスペースを突かれてグラウンダーのクロスを放り込まれる。これがヤン・カラモーに渡りピンチを招いたが、ここでも身体を投げ出してシュートタイミングを遅らせたのが冨安。またも失点を防ぐファインプレーを見せた。
もちろん冨安だけでなく、ボローニャはチームとして素晴らしかった。ボールホルダーに対し必ず一人がチェックに行く。これを連動して行い、良い形でマイボールへ持ち込むと人数をかけた攻撃を展開。ロベルト・ソリアーノに2ゴールが生まれるなど、前半だけでパルマを2-0と突き放した。
「NEXTロバートソン」をサポート
2点のリードを得たボローニャ、そして冨安は後半に入ってもまったく集中力を落とさなかった。
47分、カラモーが右サイドからの突破を試みたが、立ちはだかったのは冨安。カラモーのスピードアップのタイミングをしっかりと見極め、先に身体を入れることに成功。ノーファウルの完璧な対応をみせた。
さらに53分、冨安はハーフウェーラインでエルナニからボールを奪うとドリブルを開始し、相手二人を置き去りにしてペナルティーエリア内へ侵入。シュートこそ放てなかったが、チーム全体のラインを押し上げる効果的なプレーであったことは確か。会場のレナト・ダッラーラからも拍手が沸き起こっていた。
ボローニャは67分にGKウカシュ・スコルプスキのミスキックが引き金となってエルナニに得点を許してしまったが、その他に流れの中から守備が大崩れするようなシーンは少なかった。
対してボローニャ攻撃陣は退場者を出したパルマ守備陣を完璧に粉砕。アンドレアス・スコフ・オルセン、後半アディショナルタイムにはロドリゴ・パラシオに得点が生まれて、4-1とダービーマッチを飾っている。
開始1分のジェルビーニョの決定機を防いでから、冨安のパフォーマンスレベルは継続して高かった。守備陣の一角として1失点を喫したことは悔やまれるが、個人として軽率なミスや対応は一つもなかった。『Who Scored』によるデータでもチーム内最多のパスを繰り出しながら成功率91%、空中戦勝利数チーム最多という申し分ない結果も表れている。まさに、鉄壁だった。
ボローニャはこの日、左サイドバックにアーロン・ヒッキーという選手を先発に抜擢している。今季、食野亮太郎も所属していたスコットランドのハーツからやって来た18歳で、このパルマ戦が同選手のセリエAデビューだった。
ヒッキーは昨年、わずか16歳でハーツのトップチームデビューを果たし、スコティッシュカップ決勝(セルティック戦)に出場した最年少選手にもなった。「NEXTロバートソン」との呼び声が高いようで、実際今夏にはバイエルン・ミュンヘンらが獲得に動いていたとされている。
そんな逸材をボローニャが新戦力として加えた。ヒッキーは入団後に「(セリエAは)世界のトップリーグの一つ。クリスティアーノ・ロナウドやパウロ・ディバラと対戦する機会があれば、気が狂いそうになるかも」と話している。
少し話が逸れたが、パルマ戦でそのヒッキーのサポート役を担ったのも冨安だった。実際、スコットランド人レフティーは攻撃面でアグレッシブなプレーをみせたが、守備面では簡単に足を出してしまうシーンもしばしば。ただ、それでもボローニャの左サイドが簡単に攻略されなかったのは、冨安の存在が大きかったと言えるだろう。先述した47分のシーンが、まさに象徴的だった。
冨安も現在21歳と若いが、ボローニャではすでに「頼られる存在」になっているといっても過言ではないだろう。次節、ベネベント戦での活躍にも期待したい。
(文:小澤祐作)
【了】