互角だったリバプール対アーセナル
昨シーズンのプレミアリーグ王者と、8位チームとの差は、かなり縮まったと言っていい。昨季は勝ち点差が44ポイントあった両者だが、この試合は互角と言っていいほど拮抗したものだった。
【今シーズンのアーセナルはDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】
ミケル・アルテタ監督就任後、アーセナルがリバプールと戦うのはこれが3度目。1度目は昨季の第36節で、既に優勝を決めていたリバプールに2-1で勝利。FAカップを制したアーセナルは先月末にコミュニティーシールドに臨み、PK戦の末にリバプールを下している。そして3度目の対戦はリバプールに軍配が上がっている。
過去2回に続いて、この試合もアーセナルが先制した。GKから繋いでいき、グラニト・ジャカの縦パスを受けたアレクサンドル・ラカゼットが左へ展開。エインズリー・メイトランド=ナイルズのクロスは通らなかったが、アンドリュー・ロバートソンのキックミスを拾ったラカゼットがゴールに押し込んだ。
アーセナルのゲームプランはコミュニティーシールドのときと同じ。5-4-1で構えつつ、ボールを握れば自陣の低い位置からでも繋いだ。相手のハイラインの裏を突いた狙い通りの得点で、コミュニティーシールドの先制点とも似た状況だった。
しかし、ここからが違った。先制したアーセナルは前から取りに行くのか、後ろでブロックを固めるのか、ボールを握るのか、素早く敵陣に攻め込むのか曖昧だった。全体が間延びしてスペースが生まれ、縦パスを通され、サイドを崩され、あっという間に逆転を許した。
リバプールの戦いはぶれなかった。DFラインでボールを回して様子をうかがい、逆サイドに大きく展開し、楔のパスを前線に入れる。アーセナルが先制後に浮足立ったのに対し、リバプールは自身のストロングポイントを90分間貫いた。88分には移籍後リーグ戦初出場となったディオゴ・ジョッタがゴールを決め、3-1でリバプールが勝利を収めている。
アーセナルはリバプールのライバルに?
逆転を許したものの、アーセナルにも追いつくチャンスはあった。しかし、ラカゼットは2度の決定機を活かすことができなかった。ウィリアンのスルーパスと、ダニ・セバージョスのスルーパスに反応してGKとの1対1の状況を作り出したが、フィニッシュはいずれもGKアリソンに阻まれた。
ボールを握った時間はリバプールが長く、シュートの数でもリバプールが大きく上回ったが、決定機の数はこれまでの2回と同様にほぼ同じ。しかし、拮抗した試合では、1つのミスが勝敗を分ける。ロバートソンは自身のミスが失点につながったが、素晴らしいオーバーラップから逆転弾を決めている。ラカゼットはディフェンス面の貢献こそ光っていたが、2度の決定機を外したのは痛かった。
思い返せば、2-1でアーセナルが勝利した昨シーズン第36節も、アーセナルの2得点はリバプールのミスから生まれている。拮抗した試合を動かすのはミスであることが多い。そして、相手のミスを誘うのも、そのリスクを回避するのも戦略の1つである。
「彼ら(リバプール)は5年間も一緒にやっている。1年、2年、3年であれをやるのは不可能だ」
ミケル・アルテタ監督は試合後にそう言った。勝負の神様は細部に宿り、その細部まで突き詰めるのには時間がいる。両指揮官の在任期間は決定的な差だ。いい戦いをするアーセナルから、勝てるアーセナルになるまでには、少しばかりの我慢が必要なのかもしれない。
ただ、ビッグ6にあれだけ弱かったアーセナルが、昨季終盤はリバプールに勝利し、マンチェスター・シティとチェルシーを下してFAカップを制した。アルテタが操縦するバスは確実に前に進んでいる。
アルテタ率いるアーセナルは、クロップ・リバプールとの対戦成績を1勝1敗1分とした。ペップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティが負傷者の影響もあって苦戦を強いられている今、アーセナルがリバプールと覇権を争うかもしれない。
奇しくもリバプールとアーセナルは、2日後に同じアンフィールドでカラバオカップ4回戦を戦う。
(文:加藤健一)
【フットボール批評がついにアーセナルを大特集! 日本一硬派なサッカー専門誌がすべてのグーナーに贈るバイブルの詳細は↓↓↓をクリック!】
【了】