シャフタールが終始圧倒
ヨーロッパリーグ(EL)はすでに準々決勝に突入している。現地10日にはインテルがロメル・ルカクの活躍もあってレバークーゼンを2-1で撃破。一足先にベスト4入りを決めている。
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そのインテルが待つ準決勝を目指し、現地時間11日にウクライナ王者シャフタール・ドネツクとスイスのバーゼルが激突した。
試合は開始わずか2分に動いた。シャフタールがコーナーキックのチャンスを得ると、マルロスの蹴り込んだボールをモラエス・ジュニオールが頭で押し込んだのだ。
こうして早い時間からペースを握ったシャフタールは、その後もバーゼルを圧倒。ポゼッション率を高め、守備時はボールの即時奪回を狙って流れを与えず。20分時点で支配率73%を記録するなど、やや一方的な展開となっていた。
そして、22分に追加点。ロシアワールドカップ・ブラジル代表メンバーのタイソンが放ったボールがファビアン・フライに当たってゴールへ吸い込まれた。
ラウンド16でフランクフルトに大勝を収めたバーゼルだが、前半はほとんど何もできなかった。事実、45分間で放ったシュートは5本、枠内シュートに関しては0本、被シュート数は11本となっている。そして、2点も奪われてしまった。
ただ、後半はやや息を吹き返した。これをチャンスと見たマルセル・コラー監督はケマル・アデミやリッキー・ファン・ヴォルフスウィンケルなどを投入。スコアを振り出しに戻そうと勝負に出た。
しかし、交代直後の75分、ドリブルで仕掛けたタイソンを途中出場のヤニック・マルシャンがペナルティエリア内で倒してしまい、PKを献上。これをアラン・パトリックに沈められ、リードが3点に広がってしまった。
さらに88分、バーゼルは左サイドを破られドドにゴールを献上。ATにヴォルフスウィンケルが1点を返したものの、1-4でベスト8敗退となった。
一方のシャフタールはラウンド16のヴォルフスブルク戦に続き大勝。インテルが待つ準決勝に駒を進めた。ELでのベスト4進出は2015/16シーズン以来のこととなった。
マンCを想起させる魅力的な攻撃
シャフタールは後半にややペースが落ちて1点を返された。しかし、前半45分間のパフォーマンスはまさに完璧。ここで勝負を決めたと言っても過言ではないだろう。
とにかく攻撃時の選手間の距離が絶妙で、良いテンポでパスが次々と繋がっていく。バーゼルは高い位置から奪おうとするが、ほとんどの場面でプレスが無力化されて逆にピンチを招いていた。
シャフタールは攻撃時、サイドハーフのタイソンとマルロスが少し内側にポジショニングを取ることで、相手サイドバックとセンターバックのマークを曖昧とさせた。そこへボールを動かしながらマルコス・アントニオやタラス・ステパネンコも中盤底から出てくる。バーゼルにとってここを捕まえきるのが難しかった。
速いテンポでボールを動かし、ボールホルダーの周りで次々と選手が動くシャフタールに対し、バーゼルは的を絞り切れず、数的優位な状況を作られ幾度となくライン間のスペースを空けてしまった。当然、ウクライナ王者はそこへボールを躊躇なく放り込む。良いエリアで前を向いてバーゼルゴールを襲うシーンは数え切れぬほどあった。
また、タイソン、マルロス、パトリック、モラエスの前線4枚はボールを動かしながら頻繁にポジションチェンジ。30分のシーンではタイソンのパスを本来は右サイドのマルロスが中央で受け、右から斜めに入ってきたモラエスがボールを引き出していた。バーゼルがなかなか的を絞ることができないのも、納得がいくクオリティーだ。
素早くボールを動かしながらその周りの選手も質の高い動きを見せて相手守備陣の「ズレ」を狙う。そして、ライン間のスペースを効果的に使い数的優位な状況を作り出して一気に相手を押し込む。そもそものフォーメーションなどは違うが、シャフタールの攻撃にはマンチェスター・シティを想起させるような魅力があったと言えるだろう。
「すでにインテルの勉強を始めている」とは、シャフタールを率いるルイス・カストロ監督の言葉。アントニオ・コンテ監督率いるチームは最大限の警戒が必要となるはずだ。
(文:小澤祐作)
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