バレンシア時代のダビド・シルバ
(赤字は新加入または獲得候補に挙げられている選手)
時は遡って約10年前。エメリ監督がセビージャのみならずバレンシア時代にも重用していたのが、エベル・バネガだった。まもなくサウジアラビアへ移籍することが内定しているプレーメーカーは、闘争心とエレガントさを兼ね備えたパスマスターだ。
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スピードに欠け、それほど運動量が多いわけではないが、両足から繰り出されるパスの質がとにかく高い。中盤でタメを作ってリズムを整えたり、1本のパスで局面を大きく変えたり、組み立てに緩急をつけたり、自在にゲームのテンポを操る術に長けていた。
エメリ監督がバレンシアにやってきて2年目だった2009/10シーズン、アトレティコ・マドリーへの期限付き移籍から復帰したバネガは中盤の要に据えられて眩い輝きを放った。そして当時のチームにはダビド・ビジャやダビド・シルバ、フアン・マタら豪華なタレントが揃い、駆け出しの若手だったジョルディ・アルバも台頭し始めていた。
当時のバレンシアも4-2-3-1が基本システム。センターバックとセントラルMFが形成する四角形が中央をがっちり固め、2列目のマタやダビド・シルバ、パブロ・エルナンデス(もしくはホアキン・サンチェス)が華麗な崩しで魅せ、ビジャがゴールを仕留める流れが確立されていた。
新シーズンのビジャレアルでエメリ監督が自身の評価を高めた約10年前のバレンシアを再現するなら、久保に最適なポジションはダビド・シルバが担っていたトップ下になるだろう。センターバックコンビのラウール・アルビオルとパウ・トーレス、セントラルMFのイボーラとパレホが中央の四角形を形成して全体のバランスを取る。
そしてパブロ・エルナンデスやホアキンといった純粋なウィングタイプが担っていた右サイドには、豪快なカットインが武器のチュクウェゼが理想的だ。
バレンシアではダビド・シルバとマタがポジションを入れ替えることもあった。ビジャレアルに置き換えれば久保とモイ・ゴメスやチュクウェゼが同様の流動性を発揮できれば、攻撃の幅や厚みはより一層増していくだろう。