狭いエリア内でペナルティーエリアに至る道筋を作り出す能力
ダビド・シルバがチームにもたらすものは単純にゴールやアシストだけではない。2017/18シーズンのプレミアリーグで彼が記録した9得点、10アシストという数字は、2018/19シーズンには6得点、7アシストに減少した。
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だが、むしろ重要なのは、相手のタイトでコンパクトな守備構造の中にスペースを見つけ、狭いエリア内でプレーしつつ、ペナルティーエリアに至る道筋を作り出すことができる彼の能力だ。このことは、過去2シーズンにダビド・シルバが記録した80.5%および76.2%というドリブル成功率にも明確に現れている。
ファイナルサードへのパス成功率とペナルティーエリア内へのパス成功率に関しても同じことが言える。2017/18シーズンにはファイナルサードへのパス成功率87%、ペナルティーエリア内へのパス成功率69.2%を記録。2018/19シーズンにはそれぞれ83.8%および71.3%という数字を残した。
2019/20シーズンに34歳となるダビド・シルバの背後では、フォーデンなどの選手がトップチームでの出場機会増加のチャンスを虎視眈々と窺っている。純粋にフィジカル的な観点から言えば、ダビド・シルバが下り坂にあることは間違いない。90分間を通して走り続けることはもうできないだけに、トップチームでの稼働率は慎重に調整していく必要があるだろう。
だが、ボールを扱う技術や試合のテンポや流れをコントロールする能力という点では、シティのチーム内はもちろん、欧州サッカー全体でもまだまだダビド・シルバに匹敵するほどの選手はほとんどいない。
ダビド・シルバがシティのトップチームでの役割低下を受け入れるのか、それとも最後の大きな移籍に心を動かされるのかはまだわからない。中国や中東が移籍先の候補だとも噂されている。ダビド・シルバにはいまやマンチェスターの町やグアルディオラとの強い結びつきがあり、悲願のチャンピオンズリーグ制覇を目指していくクラブに残ることを選ぶ可能性も十分にある。
ピッチ上を走り回る力には衰えの兆候が見られるとしても、戦術面、技術面でのダビド・シルバのクオリティの高さや、スペースの扱い方についての理解度に疑問を差し挟む余地はない。今後の移籍市場でも、こういった能力を補うことができる後継者をシティが見つけ出すのは容易なことではないだろう。
(文:リー・スコット)
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