オランダの伝説的監督であるクライフからサッカーの戦術を学んだ
サッカーは本質的にロマンと歴史のスポーツだと言える。偉大な選手や偉大なチームは尊敬の念を集め、時間を経るにつれてその存在はさらに大きく語り継がれていく。人々は良い部分を記憶に残し、悪い部分は忘れていく。プレーを取り巻くこのようなロマンティシズムが生み出すノスタルジーは、背番号という実体のない数字にまで拡大される。
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長い年月の中で、背番号は選手のタイプと結び付けられ、不可分なものとなった。その中でも特に重要視されているのが背番号「10番」だろう。
サッカーの文脈において「10番」とは、攻撃的なゲームメーカーを想起させる。中盤と前線の間のスペースで活動する選手だ。一般的にこのような選手は非常にクリエイティブなタイプであり、ファンを楽しませ、熱狂させることができるようなボールコントロールやスキルを有している。
サッカーの歴史が生み出してきたトップクラスの「10番」といえば、すぐに何人もの名前を頭に浮かべることができる。特に順番をつけるわけではないが、ロベルト・バッジョ、フランチェスコ・トッティ、ジネディーヌ・ジダン……いくら挙げてもきりがないほどだ。象徴的な選手たちが象徴的な背番号を身につけてきた。
だが、現代のサッカーは伝統的な「10番」像から脱却したと言えるかもしれない。グアルディオラのバルセロナが広く浸透させた4-3-3などの戦術構造の隆盛により、中盤の底に「4番」、より前のポジションに2人の「8番」を置く形を標準的なシステムとして用いるチームが増えてきた。
過去10年間前後のサッカー界のトップレベルにおいては、このような中盤の形を好むチームが明らかに多くなった。チームによっては少し変化を加え、2人の「4番」をダブルボランチとして中盤の底に並べる場合もある。
後者の手法では守備面がより堅実になると言えるが、これがグアルディオラのチームで用いられることは考えにくい。何よりグアルディオラ自身も、シングルボランチシステムの「4番」としてキャリアのすべてを過ごした選手だった。
彼がまだ若い選手だった頃、オランダの伝説的監督であるクライフからサッカーの戦術を学んだ。クライフには、シングルボランチの形で戦うことで、2人の「4番」を置くよりもボールを前進させやすいという信念があった。
(文:リー・スコット)
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