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久保建英が絶対的存在といえる理由は…。圧倒的スタッツにすら感じる物足りなさと来季の課題

リーガエスパニョーラ第37節、マジョルカ対グラナダが現地時間16日に行われ、1-2でマジョルカが敗れた。久保建英はマジョルカを勝利に導けず、チームは1年での降格が決まっている。絶対的な存在へと成長した久保だが、シーズンを通して戦う中で課題にも直面している。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

逆転負けで降格のマジョルカ

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【写真:Getty Images】

 レアル・マドリードが3シーズンぶりの優勝を決めると同時に、マジョルカのラ・リーガでの挑戦は1年で終わりを告げることになった。

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 マジョルカは4-1-4-1で試合をスタートさせたが、序盤はなかなかフィニッシュにつなげられなかった。しかし、開始10分あたりで4-2-3-1へ陣形を変えると、ダニ・ロドリゲス、久保建英、クチョ・エルナンデスが立て続けにシュートに持ち込んでいる。

 そして、4本目のシュートがゴールになった。相手のクロスボールを自陣で跳ね返したところからアンテ・ブディミル、ロドリゲスとつなぎ、ハーフウェイ付近から運んだクチョがボックス内に侵入して右足で決めた。

 20分に先制したマジョルカはリードを保った状態でハーフタイムを迎えたかったが、徐々にグラナダに押し込まれていく。迎えた前半アディショナルタイム、マジョルカのルマーがクロスを跳ね返したところを、レガネスのビクトル・ディアスがダイレクトで右足を振り抜いてゴールネットを揺らした。

 なんとしても勝ちたいマジョルカは後半もチャンスを作ったが、ゴールは生まれず。対するグラナダはショートコーナーの流れからアンヘル・モントーロのクロスをカルロス・フェルナンデスが頭で合わせ、69分に逆転に成功した。

 逆転を許したマジョルカはラーゴ・ジュニオルを左サイドバックに入れて攻勢を強める。しかし、80分にグラナダがカウンターを狙おうとしたところで、逆転ゴールを決めたフェルナンデスを途中出場のアレクサンダル・セドラルが倒してしまい一発退場に。1人少なくなったマジョルカは成す術なくタイムアップを迎えた。

期待の若手から結果を求められる選手に

 ここ数試合の久保建英は明らかにパフォーマンスが落ちている。34日間で14試合目を迎えたマジョルカの中で久保は全試合に先発しており、疲労の蓄積は否定できない。ゴールを決めたレバンテ戦は後半から明らかに足が止まり、セビージャ戦でも以前ほどの輝きは見せられなかった。この試合でも得意のドリブルを成功させたのはわずか1度だけだった。

 ただ、久保がマジョルカの攻撃で違いを生んでいることは誰の目で見ても明らかだと思う。この日もチーム全体の1/3となる6本のシュートを記録。ただ、2本の枠内シュートはいずれもGKの正面で、1本は相手のブロックに阻まれた。勝利が求められる試合で、ゴールにつながる仕事をすることはできなかった。

 今季の数字を見ても、チームトップの12ゴールを挙げているブディミルを上回る22本の枠内シュートを記録している。ミドルレンジからのシュートが多い中で、驚くことに3本中2本の確率で枠内に飛ばしている。シュートが打ちやすいところにボールを置いて枠内に飛ばす技術の高さには特筆すべきものがある。だからこそ、4ゴールという数字には物足りなさが残ってしまうのだろう。

 同じように62を数えるドリブル成功数もチーム内では突出しているが、シュートにつながるパスの数はそれほど多くない。4アシストという数字を残しているが、さらなる結果を期待してしまうのは高望みだろうか。

 マジョルカは2シーズン前にセグンダB(3部相当)で戦っていたチームで、残留争いをしたチームの中でも戦力的に劣っているのは明らかだった。特に終盤戦は久保へのマークが厳しくなる中で、結果を残すことは容易ではない。しかし、それを乗り越えたとき、久保はまた1つ上のステージへ登ることになり、レアル復帰にも近づくことができる。

 この1年で久保は将来を嘱望される若手から結果を求められる選手へと成長している。スペインで確かな爪痕を残すとともに、新たな課題を突きつけられた。来季の去就は不透明だが、引く手数多だと言われている。3日後に行われるリーグ最終節は消化試合であると同時に、久保にとっては来季に向けたスタートの試合になる。

(文:加藤健一)

【了】

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