久保建英は影を潜めていたが…
どちらかと言えば、この試合の久保建英のパフォーマンスはあまり良いとは言えないものだった。ボールロストもチームで最も多く、パス本数もチーム最少タイの19本。バルセロナ戦やアトレティコ・マドリード戦のプレーで期待値が上がりすぎているのもあるが、少し物足りないプレーだった。
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マジョルカは序盤からチャンスを作りながらも、ゴールを奪うことはできない時間が続いた。久保も2分にクロスを上げてクチョ・エルナンデスのヘディングシュートを演出、30分にはカットインからミドルシュートを放ったが、ゴールネットを揺らすことができなかった。
それでも、右サイドバックのアレハンドロ・ポソが上げたクロスをクチョが頭で合わせて40分に先制。1-0でハーフタイムを折り返すと、後半は攻勢を強めるレバンテの攻撃を凌ぐ時間が続いた。
18:30の試合開始時点ではまだ日が沈んでおらず、マジョルカの本拠地ソン・モイスはキックオフ時点で29度もあった。マジョルカは前の試合から中5日と、中2日のレバンテに比べて余裕があったが、後半は疲れの色が見えていた。
しかし、リーグ戦再開後すべての試合に先発している久保は、中心選手としての責務を全うした。84分、アンテ・ブディミルのポストプレーの落としを受けた久保はハーフウェイ付近からペナルティーエリア内に侵入して右足を振り抜いた。GKアイトール・フェルナンデスのセーブに阻まれたが、こぼれ球をブディミル、ダニ・ロドリゲスとつないでサルバ・セビージャがシュート。これもフェルナンデスに弾かれたが、こぼれたところを久保が押し込んだ。
必要なのは勝利だけ
3月7日のエイバル戦以来、8試合ぶりの久保のゴールは、マジョルカに勝利を手繰り寄せた。リーグ戦再開後は2勝目で、4得点に絡んだセルタ戦に続いて久保は結果を残している。
降格の危機に瀕するマジョルカにあって、良いプレーは何の意味も持たない。必要なのはゴールであって、勝利だった。
後半の久保は明らかに精彩を欠いていた。60分あたりではボールロストを繰り返している。イエローカードをもらったファウルは少し厳しい判定だったが、チーム全体が守勢に回ったことも相まって、久保は影を潜めていた。
苦しい時間帯で決めたゴールは、まさにエースの仕事だった。セルタ戦で見せたまわりを活かすプレーに、この試合の決定力が加われば、久保はさらなる高みへと到達することになるだろう。
18位のマジョルカは勝ち点を32ポイントに伸ばし、エイバルとセルタとの差を4ポイント、1試合消化が少ないアラベスとの差を3ポイントとしている。マジョルカは3試合を残しているが、中2日で迎える次戦は4位のセビージャ。厳しい戦いが予想されるが、残留するためには勝つしかない。
勝つためには久保が結果を残すしかない。リーガで注目を集めるまでに成長した久保がマジョルカを残留に導くことができれば、来季への道も拓けるだろう。
(文:加藤健一)
【了】