レアルの強さ
ジャイアントキリングの再現とはならなかった。
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昨年10月の前回対戦でマジョルカは大金星を挙げたが、この日はレアル・マドリードを相手にゴールを奪うことができなかった。レアルは19分にヴィニシウス・ジュニオールのゴールで先制すると、56分にはセルヒオ・ラモスがFKを直接決めて追加点。2-0で勝利を収めたレアルは勝ち点でバルセロナと並び、直接対決の成績により首位に浮上している。
バルセロナとは対照的な勝利だった。バルセロナは前日にアスレティック・ビルバオと対戦しているが、自陣にブロックを固める相手に攻めあぐねた。ボール保持率は70%を越えたが、決定的なチャンスをなかなか作り出せず、イバン・ラキティッチのゴールで辛くも勝利している。
対するレアルは、下位に沈むマジョルカに押し込まれる時間もあった。序盤から積極的なマジョルカにボールを握られたが、百戦錬磨のスター軍団は試合の要所で得点を決めた。ボール保持率でもシュート本数で大きく上回わらなくても、相手より多くゴールを奪えばそれでいい。レアルの強さを象徴するような勝利だった。
レアルにとってはカゼミーロの出場停止がプランに大きく影響しただろう。今季のリーグ戦でカゼミーロが欠場したバレンシア戦とビルバオ戦はともに引き分けている。この試合では中盤の底にルカ・モドリッチとフェデリコ・バルベルデが並んだが、いつもと異なるオーガナイズに慣れるまでは少し時間を要した。
ゴールが遠いマジョルカ
マジョルカはリーグ再開後ここまですべて中2日で3試合を戦ってきたが、レアル戦には中4日で臨んでいる。ビジャレアル戦やレガネス戦の試合途中でも使った3バックで臨み、久保建英はアンテ・ブディミルと2トップで並ぶ形でプレーしている。
この試合でも久保はマジョルカの攻撃の中心だった。両チーム最多の5回のドリブルを成功させ、チームトップの3本のシュートを記録している。得点の匂いがする数少ない選手の一人といっていいだろう。
特筆すべきはファウルの多さ。この試合では両チーム最多タイの5つのファウルを受け、試合終盤にはフェルラン・メンディとトニ・クロースのイエローカードを誘発している。前節でも同様に2枚のカードを引き出していることからも、激しいマークに遭っていることがわかる。マークの激しさは、レアルの選手から認められている証とも言えるかもしれない。
久保の奮闘もむなしく、マジョルカはこの日も無得点に終わった。リーグ再開後の4試合で奪ったゴールは、レガネス戦でサルバ・セビージャが決めたFKのみ。1試合消化が少ない17位(残留圏)のエイバルとの勝ち点差は3ポイントとなっており、7試合を残して残留へは黄色信号が灯っていると言えるだろう。
レアル復帰への道筋
久保の来季の移籍先は引く手あまたのようだ。ただ、レアルでプレーするために乗り越えるべき壁はあまりにも分厚く、高い。
2試合連続で先発したレアルのヴィニシウスはジネディーヌ・ジダン監督の期待に応えた。久保の1歳上のブラジル人アタッカーは、モドリッチのパスを受けてチップキックで先制ゴールを決めている。約5分後にはカリム・ベンゼマからのリターンに抜け出してシュートを放ったが、これは惜しくもクロスバーに直撃。試合を通じてマン・オブ・ザ・マッチ級の活躍だった。
この試合に途中出場したマルコ・アセンシオはプレシーズンで負った膝の大ケガから復活。バレンシア戦ではいきなりゴールを決めた。マジョルカで2シーズンプレーした経験のあるアセンシオは、久保にとってモデルケースになるだろう。
アセンシオは17歳で当時2部だったマジョルカに期限付き移籍している。1年目はわずか1ゴールだったが、2年目に6得点をあげ、翌年にはエスパニョールにステップアップして1部でアシストを量産。20歳からレアルのトップチームでプレーしている。
久保は2017年、15歳のときにJ1デビューを飾った。この年はJ3を主戦場にプレーし、翌年は横浜F・マリノスへの期限付き移籍も経験。19年シーズンは開幕からFC東京の主力として活躍し、18歳になると同時に活躍の場をスペインに移した。
久保は今月に19歳になった。同時期にアセンシオはエスパニョールでアシストを量産している。このシーズンのエスパニョールは今季のマジョルカ同様に残留を争っており、チーム状況は似ている部分も多い。アセンシオが4得点10アシストを挙げて残留に導いたのに対して、久保はここまで2得点3アシスト。単純な比較はできないが、「高評価」で生き残れるほど甘くはない。果たして久保は残りの7試合で、チームを残留に導く活躍を見せることができるだろうか。
(文:加藤健一)
【了】