改善されたバルセロナの守備
バルセロナはアスレティック・ビルバオとの難しい試合をものにした。ビルバオに対しては開幕戦でまさかの敗北を喫し、コパ・デル・レイ(スペイン国王杯)でも準々決勝で敗れた。ともにサン・マメス行われた試合を0-1で落としている。
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無観客のカンプノウで行われたこの日の試合は終盤までスコアレスで推移したが、セルヒオ・ブスケッツに代わってアンカーに入ったイバン・ラキティッチが決勝点を挙げて辛勝。現地時間24日に久保建英が所属するマジョルカ戦を控えるレアル・マドリードに3ポイント差をつけて暫定で首位に立っている。
中2日で迎えたビルバオは前節から6人を変更したのに対して、1日多く空いたバルセロナは変更を2人に留めた。ラキティッチとマーティン・ブライスワイトに代えてアルトゥールとアントワーヌ・グリーズマンを先発で起用している。
バルセロナは、自身を下回るリーグ3位の26失点を記録していたビルバオのディフェンスに苦しんでいる。フレッシュな選手を多く起用したビルバオは、4-4-1-1のコンパクトな陣形を保って相手の攻撃を封じようとした。右サイドのイニゴ・レクエは対面のジョルディ・アルバをマンマークして、5バックになるタイミングもあった。
攻撃では1トップのイニャキ・ウィリアムスがサイドバックの裏を取るか、トップ下のオイハン・サンセットに収めてカウンターから敵陣に侵入する。しかし、決定的なチャンスにつなげることはできず、ビルバオは7試合ぶりの無得点に終わった。
バルセロナはこれで5試合連続のクリーンシートとなった。1試合平均の枠内シュート数は2本で、この試合では相手に枠内シュートを一本も打たせなかった。キケ・セティエン監督就任後はボールを奪われた後の切り替えが遅く、失点の多さが指摘されたが、最近はそれも改善されてきたように見える。
バルセロナの悪い癖
バルセロナは前半に7本のシュートを放ったが、枠内に飛ばすことはできなかった。相手は8人がボックス内に入り、水際で体を張って凌いでいる。
行き詰るバルセロナは、56分にアルトゥールを下げてリキ・プッチを入れている。アルトゥールはビルバオの8人のブロックの後ろから、ブスケッツとともにボールを散らす役割を担っていた。プッチは前目でプレーして、ブロックの中へと侵入していったが、バルセロナはなかなかシュートチャンスを作ることができない。後半開始からの25分間で放ったシュートはわずか2本だった。
リーグ戦再開後のバルセロナは下位との対戦が続いた。マジョルカには4得点、レガネスには2得点を挙げたが、ここ2試合では1ゴールしか生まれていない。4位につけているセビージャとリーグで3番目に失点が少ないビルバオ相手に得点を重ねるのは容易ではないが、試合の経過とともに悪癖が露出していった。
ボックス内に人を固める相手に対して、ショートパスでの崩しに固執する。中央に人数が偏った攻撃は、相手に阻まれ続けた。前半はボックスの外から5本のシュートを放ち、相手のディフェンスを引き出そうとしていたが、後半はセットプレーを除けば88分の一本のみ。ルイス・スアレスは復帰後まだ無得点で、グリーズマンはこれで7試合連続ノーゴールとなった。
マジョルカ戦の先制点はジョルディ・アルバのクロスから生まれ、レガネス戦ではオフサイドとなったもののネウソン・セメドのグラウンダーのクロスをグリーズマンがゴールに流し込んでいる。中央の攻撃を活かす意味でも、サイドを使う攻撃は重要。しかし、ビルバオ戦ではサイドを崩したシーンはほとんど見られなかった。
苦しい中盤の台所事情
ブスケッツに代えてラキティッチを投入したことでゴールは生まれた。後方からバランスをとるブスケッツとは異なり、ラキティッチはピッチを広く動き回っている。ラキティッチがボックスの外から走り込み、メッシの切り返しを拾って奪ったゴールだった。
今季10枚目のイエローカードを受けたブスケッツは次戦が出場停止となる。その次はアトレティコ・マドリードとの対戦になるので、その前に消化できて良かったかもしれない。バルセロナはフレンキー・デヨングが右足ふくらはぎを痛めて、リーグ戦での復帰が難しくなっている。肋骨にひびが入ったセルジ・ロベルトも出場が難しく、セルタ戦ではラキティッチが中盤の底でプレーすることになるだろう。
ここのところ出場機会を与えられているプッチがセルタ戦で先発する可能性はあるだろう。ビダルは再開後4試合中3試合に先発しており、アルトゥールも2試合続けて先発している。彼らとサイドバックがうまく絡むことができれば、90分の中でゴールのチャンスは何度も生まれるはずだ。
レアルに今季1敗1分のバルセロナは、自力優勝の可能性の望みを絶たれている。セビージャ戦後にはピケの弱気な発言が物議を醸したが、ペップ・グアルディオラ政権以来となるリーガ3連覇を達成するには勝ち続けるしかない。取りこぼしが許されない中で、悪癖に陥る攻撃陣の復調が強く待たれる。
(文:加藤健一)
【了】