FKから先制したマジョルカ
絶対に勝ち点3を取らなければいけない試合だった。マジョルカは前半の早い時間で奪ったリードを保ったが、87分に失点して勝ち点1を持ち帰った。
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リーグ戦再開後、マジョルカはバルセロナ戦、ビジャレアル戦と連敗を喫している。中2日が続いた3試合目、ホームに最下位のレガネスを迎えた試合は、チャレンジャーとして臨んだ直近2試合とは重みがまったく異なるゲームだった。
この試合はDFラインの要だったアントニオ・ライージョを累積警告による出場停止で欠いたものの、ビジャレアル戦でベンチスタートだったアンテ・ブディミルが先発に復帰。ほぼベストメンバーといえる布陣でマジョルカは勝利を目指した。
ハビエル・アギーレ監督を出場停止で欠くレガネスは、立ち上がりからボールを握ってゲームの主導権を握ろうとする。しかし、最初にゴールネットを揺らしたのはマジョルカだった。左サイドで先発したクチョ・エルナンデスが倒されて獲得したFKを、サルバ・セビージャが直接決めて先制。跳んだ相手の壁の下を通す狙い通りのキックだった。
レガネスは前半に7本のシュートを放ったが、相手の懸命なブロックとGKマヌロ・レイナのセーブに防がれてゴールを奪えず。マジョルカも前半終了間際にシュートチャンスが続いたが、スコアは1-0のままハーフタイムを迎えた。
勝負を分けた交代策
ハーフタイムに交代を行わなかったマジョルカだが、後半開始からわずか7分で交代カードを切っている。ダニ・ロドリゲスに代えてセンターバックのシスコ・カンポスを入れて、最終ラインを5人に増やした。
試合は1-0のまま終盤に突入したが、最後にスコアが動いた。縦パスを受けたミゲル・アンヘル・ゲレーロをマジョルカのカンポスが倒してしまい、レガネスは敵陣左寄り、ゴールからやや距離のある位置でFKのチャンスを獲得。オスカル・ロドリゲスの蹴ったボールは無回転でクロスバーに当たってゴールに吸い込まれた。ここまでビッグセーブを見せていたレイナが触ることすらできないゴラッソが87分に生まれた。
試合は1-1で終了。マジョルカにとっては勝ち点3を取りこぼした試合だったと言えるだろう。エスパニョールが勝てば19位転落、セルタが勝てば残留圏との差は4ポイントに広がってしまう。
マジョルカの交代策が勝負を分けた。リードしているチームが動かないのは試合運びの定石だが、マジョルカのビセンテ・モレーノ監督は先にシステムの変更に手を付けている。
早い時間帯の交代について指揮官の意図としては、ダニ・ロドリゲスの退場を避けたのだろうか。今季すでに5枚のイエローカードを受けて前節は出場停止となっていただけに、後半の早い時間で警告をもらったダニ・ロドリゲスを下げるという決断を下したのかもしれない。
試合後に指揮官は、「(累積警告で出場停止のアントニオ・)ライージョがいれば(スタートから)5バックでプレーするつもりだった」と明かした。
しかし、後半の早い時間帯からのシステム変更は、結果的に自軍を苦しめることになった。レガネスはマジョルカの交代直後に2枚替えを行って攻勢を強めている。同点ゴールはレガネスがボディーブローのように攻撃し続けた末に生まれたゴールだった。
激しさを増す久保建英へのマーク
マジョルカはここまで、3試合すべてで5枚の交代枠を使っている。コンディションも整わない中で90分を戦うのが難しい選手もいるのかもしれないが、フィールドプレーヤーの半分が変わることで、戦い方は難しくなってしまう。
リーグ戦再開後、3試合連続先発となった久保建英は82分にベンチに下がった。マジョルカはサルバ・セビージャも同時に下げ、残りの約10分間を逃げ切ろうとした。結果的にはここから失点につながったが、過密日程を戦い抜くうえでは仕方ないかもしれない。中途半端にどちらかを残すよりは、思い切って2人とも下げてリアクションに徹するのは悪くない選択だったと思う。
2試合連続で途中交代となった久保は、ビジャレアル戦と同じように、流れの中からシュートを放つことはできなかった。相手からのマークは激しく、この試合だけで2枚のイエローカードを誘発している。バルセロナ戦で輝いた久保とここまで9得点をマークするブディミルを抑えてしまえばマジョルカの攻撃を防げることを、レガネスはよくわかっていた。
久保が力を持っていることは相手チームもよく知っている。チームメイトからの信頼もプレーを通して伝わってくる。それだけにこの3試合で結果が出ていないのは歯がゆいばかりだ。
マジョルカは中4日でレアル・マドリードと対戦する。ホームで行われた昨年10月の試合では大金星を挙げた。奇跡のダブル(2勝)を達成するには、保有元との対戦となる久保の活躍が不可欠になるだろう。
(文:加藤健一)
【了】