サッカーはできないという判断は、僕はリスペクトしています
――経済の話もお願いします(笑)
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村井 ごめんなさい(笑)。結局、全体を考えた時に国民の健康を重視する。経済を優先して、国民の健康をないがしろにすることはできないというのがベースとしてすでに存在していたわけです。今、試合はストップしていますが、経済のためにサッカーのために試合に突き進むということはありえないと考えています。
緊急事態宣言が発令されて、この状況ではサッカーはできないという判断は、僕はリスペクトしています。ではクラブの経営状況はどうか? 日銭が入らない状況ですので、本当に予断を許さない状況が続いています。でも、リーグ運営予算の1年分くらいのコミットメントラインを用意して、本当にクラブが厳しい状況になったら、しっかり財政的なサポートができるようにバックアップ体制を敷いています。
サッカーは4年リズムなので2022年までの中期計画は完成していて、細かい予算配分までしていたのですが、それを全廃、凍結してすべての計画をいったん白紙に戻して、サバイブするために大幅なコスト削減に動いています。それも各クラブが必要となった時にJリーグが財政サポートができるような準備であって30%から50%くらいの予算削減プランを立てています。
Jリーグは今までにないようなコスト削減をしてでも、各クラブへの均等配分金は減らしません。そしてクラブからSOSが出た時の融資体制を整える。今、そのあたりの原型が見えてきています。お金のために無理をしなくてもいいように、今、Jリーグでは万全を期した体制を準備している。そういった状況ですね。
撤退するのではないかとか、そういうことはありません
――DAZNとの関わりはどうなのでしょうか?
村井 DAZNとも緊密な連絡を取り合っています。DAZNはスポーツ文化を守るためにファン、サポーターに全試合を届けてくれる強力な我々のパートナーで、表裏一体、一蓮托生、本当に密接不可分の関係だと我々は位置づけています。7月以降であればリーグ戦に関しては日程消化できる可能性を残しているし、今の状況でもDAZNは我々を全面的に支援してくれています。
一方で試合中継などのコストがJリーグ側から出ているわけではないんです。どういう形かといえば、我々はDAZNにインターネットを通じて配信する権利を10年間2100億円で販売しました。試合中継は1000試合を超えますが、そのすべてをJリーグがコスト負担して中継を制作しています。つまり、著作権はJリーグなのです。
第1節以外は試合が止まっているので、Jリーグはコストがかかっていません。ですから、契約そのものの骨格はまったく変えないけれど、Jリーグがいただく放映権は一定程度、後ろ倒しで結構です、その支払いを猶予することを我々からDAZNに申し入れて、DAZNにそれを了解してもらっている状況です。
DAZNが契約そのものを履行しないのではないかとか、撤退するのではないかとか、そういうことはありません。最終的に契約に関しては完全に非公開となります。これはNDA(契約)を交わしている双方で守秘義務があり、契約の詳細についてはお伝えすることができないのですけれど、この状況の中で連携しているということは申し上げられます。
(取材・文:吉沢康一)
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【了】