ドルトムント(11/12シーズン)
ドルトムント(11/12シーズン)のフォーメーションや成績など【写真:Getty Images】
ドルトムント(ドイツ/ブンデスリーガ)
11/12シーズン成績
・ リーグ戦:1位(勝ち点81/25勝6分3敗)
・ カップ戦:優勝
・ CL:グループステージ敗退
監督:ユルゲン・クロップ(ドイツ/当時44歳)
スタイル:ショートカウンター
11/12シーズン主な先発メンバー
GK:ローマン・ヴァイデンフェラー
DF:マルセル・シュメルツァー、マッツ・フンメルス、ネヴェン・スボティッチ、ウカシュ・ピシュチェク
MF:イルカイ・ギュンドアン、セバスティアン・ケール、ケビン・グロスクロイツ、ヤクブ・ブワシュチコフスキ、香川真司
FW:ロベルト・レバンドフスキ
クロップ監督に率いられたドルトムントもまた、現代サッカーにおいて欠かすことのできない重要なチームである。
当時、バルセロナに端を発したポゼッションスタイルが隆盛を極める中、ドイツで誕生したこのチームは、そのアンチテーゼとも呼べる戦い方を見せていた。
このチームの代名詞は「ゲーゲンプレッシング」と呼ばれた。これは攻撃の前提が相手ボールの状態であり、相手がカウンター攻撃を仕掛けるために前がかりになっている状況で自らも受け身に回らずボールを奪取し、一気にカウンターを仕掛けるというもの。いわゆるクロスカウンターと言えるものだった。
サッカーにおいて試合の優劣を見極める指標の一つとしてボール支配率があるが、このドルトムントは支配率が低い試合でこそ力を発揮する。逆に支配率が高まれば敗戦を喫するという、ある意味では矛盾したチームだった。
そして、このチームで最大級に輝きを放っていたのが香川真司だった。香川の前線からプレスをかけ続ける姿勢、ワンタッチでボールをさばくスキル、狭いエリアをすり抜ける敏捷性は、この「ゲーゲンプレッシング」に欠かせないものであり、ブンデスリーガの全てのクラブから恐れられていた。
この「ゲーゲンプレッシング」こそ、真逆とも呼べる「ティキ・タカ」の守備の面を参考にして編み出されたものであり、ロシアワールドカップによって決定的となったポゼッション時代の終焉の始まりだったと言える。
現在、クロップ監督が率いているリバプールでは、この「ゲーゲンプレッシング」がさらに洗練された姿を見ることができるが、当時のドルトムントは荒削りゆえの魅力を持っていた。
それはまるで、体制に抗うパンクバンドのようだった。
【了】