バルセロナ(08/09シーズン)
バルセロナ(08/09シーズン)のフォーメーションや成績など【写真:Getty Images】
バルセロナ(スペイン/リーガ・エスパニョーラ)
08/09シーズン成績
・ リーグ戦:1位(勝ち点87/27勝6分5敗)
・ カップ戦:優勝
・ CL優勝
監督:ジョゼップ・グアルディオラ(スペイン/当時38歳)
スタイル:ポゼッション
08/09シーズン主な先発メンバー
GK:ビクトル・バルデス
DF:エリック・アビダル、カルレス・プジョル、ジェラール・ピケ、ダニエウ・アウベス
MF:セルヒオ・ブスケッツ、アンドレス・イニエスタ、シャビ
FW:ティエリ・アンリ、サミュエル・エトー、リオネル・メッシ
このチームをなくして2000年代のサッカーは語れない。
08年5月、ライカールト政権が終わりを告げると、選手としてバルセロナで育ち、バルセロナBを率いていたジョゼップ・グアルディオラがトップチームの新たな監督に就任することが発表された。
グアルディオラは、ブスケッツをBチームから引き上げ、下部組織出身のピケをマンチェスター・ユナイテッドから買い戻すと、バルデス、プジョル、シャビ、イニエスタ、メッシらバルセロナで育った選手たちとともにチームの中核に据えた。
グアルディオラに率いられた選手たちは、抜群の距離感を保ちながら細かなパスを寸分違わぬ精度でつなぎつつ、ゴールへと迫る。多くの試合の多くの時間を相手陣地で過ごし、ボール支配率は時に80%を超えながら、メッシの類いまれなる得点力を開花させ、記録的な得点数を叩き出した。
そして、初年度からリーグ戦、カップ戦、CLの三冠王者に輝いたこのスタイルは「ティキ・タカ」と呼ばれ、多くの信望者を産んだ。さらに、グアルディオラによって生み出されたこの戦法は、攻撃面だけでなく、守備面でものちのサッカー界に大きな影響を与えた。
高い位置から複数人が連動してボールを奪い、瞬く間にボールをリカバーする動きは、現在のハイプレスの手本になったと言える。このチームの誕生は、バルセロナというクラブがより崇高な存在になることを決定づけるだけでなく、サッカー界全体に革命をもたらし、より戦術的なスポーツへと昇華させた。
一方で、ある意味では“功罪”とも言える。日本サッカー界を含め、このスタイルに魅入られたチームの多くはその水準に遠く及ばず、内容と結果を両立することができなかった。
ただ、その事実こそがこのチームがいかに崇高かを示すとも言えるだろう。