スペイン戦の惨敗から中2日
東京五輪前に真剣勝負ができる大会は、このシービリーブスカップが最後だ。なでしこジャパンは現地5日に行われた初戦のスペイン女子代表戦で多くの課題を突きつけられ、1-3というスコア以上の完敗を喫した。
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温暖なフロリダ州オーランドから北部への移動も込みで中2日という過密日程。現地8日にニュージャージー州ハリソンのレッドブル・アリーナで対戦するのはイングランド女子代表だ。なでしこジャパンは昨年のFIFA女子ワールドカップのグループリーグ第3節で、同国に0-2で敗れている。
イングランドは今大会初戦でアメリカ女子代表に0-2で敗れたが、日本にとっては格上の相手。フィジカルでも技術でも上回られている以上、劣勢を避けることはできないだろう。押し込まれる展開になることも想定される。
そして中2日が続く大会日程も考慮すると、アメリカとの最終戦に向けてある程度先発メンバーの入れ替えが必要になりそうだ。GK山下杏也加やセンターバックの主将・熊谷紗希は不動として、スペイン戦で機能しなかった部分も含めて様々な選手の組み合わせを試していきたい。
熊谷の相棒には、初戦にも途中出場した三宅史織を推したい。スペイン戦に先発出場した南萌華は昨年12月のEAFF E-1サッカー選手権で大会MVPに輝くなど急速に評価を高めているが、センターバック陣のさらなる成長を促すためにもポジション争いを活性化させることが重要だ。国際Aマッチ通算22試合出場と経験もある三宅の奮起にも期待したい。
右サイドバックは初戦と変わらず清水梨紗か。なぜなら左サイドバックに、日テレ・東京ヴェルディベレーザでもチームメイトの宮川麻都を選択すべきだから。初戦で起用された遠藤純はウィングを本職とする選手で、後ろ向きの守備を苦手とする。スペイン戦ではその弱点を突かれて失点もしていて、押し込まれる展開が予想されるイングランド戦の左サイドバックには、より一層の守備の安定感を求めたい。
中盤より前の構成が鍵に
ボランチには猶本光と松原有沙のコンビを採用してはどうだろうか。前者はドイツで培った経験と、攻守にアグレッシブな姿勢を押し出して、中盤からの配球を安定させられる。後者はセンターバックもこなすフィジカル自慢で、長身の選手が多いイングランド相手の防空要員にもなる。中盤の守備で杉田妃和や三浦成美より力強さを発揮できるのも魅力だ。
後ろを手堅い編成にする一方で、攻撃陣はスピードやアイディアが豊かな選手たちに任せてみたい。というのもビルドアップが安定せず、狙いを持った崩しのパターンが整備されていない現状を考えると、中2日の限られた時間で攻撃力を爆発的に向上させるのは難しい。ならば個性豊かなアイディアや俊敏性を生かした選手起用に振り切れた方がいい。
右サイドにはスペイン戦に途中出場した籾木結花、左サイドに長谷川唯を配置し、田中美南と岩渕真奈のに2トップを任せる。カウンターで攻めることが多くなりそうならば、近い距離のコンビネーションやドリブルでのカットイン、ゴール前での多彩なフィニッシュパターンを持つ4人の即興性に賭けるのも一手だ。
戦術的な改善を根気強くチームに落とし込む時間がない以上、今いる戦力と最低限の連係・連動で乗り切るしかない。高倉監督がスペイン戦後に口にした課題も具体性欠くもので、集中力や球際の寄せの一歩、プレーの連続性といった意識的な要素を一朝一夕で変革するのは難しい。
できるだけ多くの選手に高いレベルでの試合経験を積ませ、実戦のスピードの中でのプレーを磨かせることも東京五輪に向けて非常に重要なミッションになる。アメリカ戦に全員が同じようなコンディションで臨めるようにし、より大きな成果を日本に持ち込むためにも、イングランド戦はメンバーを入れ替えながらポジティブなトライを重ねられるよう期待したいところだ。
(文:編集部)
【了】