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深刻なすい臓がん公表の元韓国代表ユ・サンチョル氏「私は絶対に諦めません」。古巣マリノス戦に来場

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

ユ・サンチョル
【写真:田中伸弥】

 誰もが久しぶりの再会を喜んだ。23日に行われた明治安田生命J1リーグの第1節、横浜F・マリノス対ガンバ大阪に元韓国代表のユ・サンチョル(柳想鐵)氏が来場した。

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 同氏は1999年から2000年、2003年から2004年の2度にわたってマリノスに在籍し、4シーズンでJ1リーグ戦80試合に出場した。2002年には韓国代表として日韓ワールドカップに出場し、同国のベスト4進出に貢献。2006年に現役引退後は指導者の道に進んでいた。

 昨年5月からKリーグの仁川ユナイテッドで監督に就任したが、衝撃的なニュースが飛び込んできたのはそれから半年もしない頃だった。昨年10月に体調不良で入院したユ氏は、翌月にクラブを通じてステージ4のすい臓がんであることを公表した。

 その後、シーズン終了まで仁川ユナイテッドの監督を務めあげ、クラブをKリーグ1(1部)残留に導いて退任。現在は同クラブの名誉監督としての肩書きを持ちながら、闘病生活を送っている。そんなユ氏が今季のJリーグ開幕戦に来場し、試合後には古巣マリノスのサポーターの前で挨拶した。

「今日は開幕戦ということで、良い結果ではなく残念なところはありますが、本当にたくさんの方々が応援に来てくれて、その様子を見ていると昔の気持ちに戻りました。

実は私、体の状態が良くないのですが、遠いところから僕のことを応援してくれるんだということを知って、挨拶しなければという思いでここに来て、たくさんの力をもらいました。

ACLの全州での試合をテレビで見ていたら、横断幕が目に入って、本当にびっくりしました。嬉しかったです。スタジアムに行きたかったですが、その時はちょっと体調が良くなくて、今日、僕もプレーしたこのスタジアムに来たいという思いで、ここに来ることができました。

私は絶対に諦めません。一生懸命、しっかり治療して、選手としてではないですが、サッカーのためにスタジアムに戻って、また皆さんとお会いしたいと思います。これからも一生懸命頑張ります。そして、皆さんもしっかりと健康でいてほしいと思います。ありがとうございます」

 盛大な「ユ・サンチョル!」コールで迎えられたレジェンドは、自身を励ます「やればできる!ユ・サンチョル!」の横断幕の前でマリノスのファン・サポーターに向けて語りかけた。来場が発表されたのは試合前日だったが、スタンドには現役時代のマリノスのユニフォームを掲げたり、涙を流したりするファン・サポーターの姿も見られた。

 挨拶の後には現役時代にマリノスで3年間着用した背番号8のユニフォームも贈呈され、ファン・サポーターはガンの完治を願って再び特大の「ユ・サンチョル!」コールで同氏を見送った。

 韓国代表では後輩にあたるガンバ大阪のDFオ・ジェソクも「今日はお会いできませんでしたが、韓国人の後輩として、選手としてサンチョルさんを応援しています。(闘病は)難しい挑戦ですけど、韓国国民みんなが応援しているし、病気を乗り越えてほしいです。2002年ワールドカップの英雄だし、監督としてもいろいろなチームで選手たちの評判も良かった。人としても素晴らしい方だと思います。もちろんガンという難しい病気と闘うのは簡単ではないですけど、韓国国民みんなが応援しているので、ぜひ治して、またグラウンドで会えたら良いなと思います」と、Jリーグでも代表でも偉大なキャリアを築いてきた先輩にエールを送った。

 ユ氏の闘病生活はまだ続くことになるが、元気な姿で日本を再訪してくれる日が来ることを願うばかりだ。誰もが不屈の魂でガンを乗り越えられると信じている。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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