不調のレバンテ相手に不覚
レアル・マドリーにとってここからの1週間は非常に重要なものとなる。現地26日にはマンチェスター・シティとのチャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16の1stレグが控えており、現地3月1日にはリーグ戦でバルセロナとのエル・クラシコが待っているからだ。
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しかし、マドリーはそんな重要な試合を前に大きな不安を残すことになった。現地22日に行われたリーガ・エスパニョーラ第25節、敵地でレバンテと対戦したマドリーは、リーグ戦直近5試合でわずか1勝と苦しんでいた相手に0-1と敗北。そのマドリーと同日に試合を行っていたバルセロナがエイバルに5-0と大勝したため、白い巨人は首位の座をライバルに明け渡すことになった。
レバンテとの試合で、マドリーは90分間ほとんどボールを支配していた。4-3-3の右ウィングに入ったMFイスコが中盤の位置まで下りてきて、そこを効果的に使うなど良いシーンも多々あった。10分にはFWカリム・ベンゼマがGKアイトール・フェルナンデスと1対1を迎えるなど、しっかりと相手を崩してチャンスを作ることもできていたのだ。
だが、4-4-2のブロックを築き、11人全員が自陣に引いて守りを固めてくるレバンテに対し、マドリーの攻めは次第に単調なリズムを刻んでくるようになる。一つ問題だったのが、ベンゼマ、イスコと前線の選手が中盤の位置まで下がってくることで、ゴール前で勝負できる選手が減ること。FWエデン・アザールはサイドに張っており、最初からボックス内でプレーするタイプではない。レバンテからすると、守りやすかったのは明らかだ。
ボール回しのテンポもなかなか上がり切らず、鋭い縦パス等もほとんど見られなかった。そこからサイドに逃げ、クロスを上げても中央を固めているレバンテに対してそれが効果を発揮するかと言えばそうではない。DFセルヒオ・ラモスも何度か最前線まで飛び出してきたが、そもそもそうでもしなければ点は取れないのか。あまりに攻撃のパターンが単調で一辺倒だ。このままでは今後も苦戦を強いられるのは確かだ。
また、この日はシュート数19本を記録し、枠内シュートも7本という数字を残したマドリーだが、決定力不足を露呈し無得点に終わった。ベンゼマ、アザールらGKのA・フェルナンデスと1対1を迎えたシーンはあったが、それを逸するなどFWとしての仕事は果たせなかった。ベンゼマに関してはシュートチャンスのシーンでパスを選択するなど、ストライカーとしては少し消極的な判断も目立ったのである。
MFフェデリコ・バルベルデ、DFフェルラン・メンディらの安定感があり、守備の強度が増し簡単には負けなくなった今季のマドリー。しかし、彼ら二人が不在となった場合、ただの点を取ることができない弱い時のマドリーに戻ってしまう。DFマルセロ、MFルカ・モドリッチは確かにマドリーの功労者と言えるが、同時に限界が近いとも言えるのかもしれない。
「7番」アザールは“問題”
クラブ公式サイトによると、試合後ジネディーヌ・ジダン監督は「我々が試合で徐々に調子を落としていったのは間違いない。後半は苦戦したよ。レバンテは1度ゴールに迫って点を奪ったが、それが現実だ」とコメントしていたという。「徐々に調子を落として」失点し、敗北。それこそが、今のマドリーを表している気もしなくはない。
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そして、ジダン監督はあることにも言及している。アザールの負傷だ。同指揮官は「いい感じではない。もともと怪我をしていた部分を痛めたからね。打撲だが、軽傷かどうか確認するつもりだ。今は痛みがあり、明日多くの検査をして様子を見る予定だ」と話していたという。少なくとも、CL・マンチェスター・シティ戦とバルセロナとのエル・クラシコへの出場は難しそうだ。
さて、今夏チェルシーから超高額移籍金で加わったアザールだが、ここまでは正直に言うと期待外れだ。シーズン開幕前にはオーバーウェイトを指摘され、シーズンが開幕してもなかなか調子は上がらず。11月下旬にはチームにフィットしてきた段階で負傷離脱を余儀なくされ、今回は復帰2試合目にして再離脱。チェルシー時代は怪我が少なかった印象だが、ここまで来ると身体に変化が訪れていると言わざるを得ない。
リーグ戦ではここまで1得点。「7番」を背負う人間としては、明らかに物足りない。確かにドリブルのキレ味はあるが、このクラブでは特に、何よりも目に見える数字が求められる。このままではマドリーに居続けることすら難しくなる可能性も否めない。
ジダン監督もアザールの離脱には頭を抱えているはずだ。FWガレス・ベイルは相変わらずコンディションが上がらず使い物にならない。FWマルコ・アセンシオも離脱中で、FWヴィニシウス・ジュニオールとFWルーカス・バスケスではそこまで違いを生みだすことはできない。FWロドリゴ・ゴエスはここ最近ベンチ入りすらできていない。シティ、バルセロナという強豪との連戦を控えているマドリーにとって、攻撃陣の人選は難題となりそうだ。
レバンテに敗北、アザールの離脱とダブルパンチを喰らったマドリー。ここでこのままノックダウンするか、立ち上がってカウンターに出るか。運命はジダン監督の手腕に託された。
(文:小澤祐作)
【了】