お互いに軽率なミスで失点
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)が盛り上がりを見せる中、もう一つのヨーロッパ王者を決める大会が再開した。UEFAヨーロッパリーグ(EL)だ。グループリーグを突破したアーセナルや、CLから同大会に回ってきたインテル、アヤックスなど、32チームがここから頂点を目指して激しい戦いを繰り広げる。
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現地時間20日には、決勝トーナメント1回戦でクラブ・ブルージュとマンチェスター・ユナイテッドが激突することになった。しかし、この試合は色々な意味で厳しいものとなってしまった。
直近のリーグ戦でチェルシーに2-0と勝利したユナイテッドは、この日も3-4-2-1のフォーメーションを採用。DFハリー・マグワイアやFWアントニー・マルシャルらが順当に名を連ね、MFファン・マタやDFヴィクトル・リンデロフといった選手が先発入りのチャンスを得た。
試合は立ち上がりからユナイテッドがボールを保持する展開になるが、なかなかテンポが上がらずブルージュを崩し切るには至らない。相手のプレスを恐れたのか横パスやバックパスが多く、単調なリズムのまま時間だけが過ぎていった。
そして、15分にはあまりに軽率な形で失点。GKシモン・ミニョレのゴールキックに抜け出したFWエマニュエル・デニスにあっさりとゴールネットを揺らされ、先制を許したのだ。
ゴールキックが放たれた瞬間、デニスに対しDF2人が付いていたにも関わらず止めることができなかった。さらにGKセルヒオ・ロメロのポジショニングも曖昧で、簡単に頭上を越されている。ペナルティエリア外まで飛び出すならそれなりの対応を見せねばならないが、アルゼンチン人GKはとくにアクションを起こすことはなかった。
得点が生まれた後は、ブルージュがユナイテッドを相手に攻める展開が続いた。何度か相手ペナルティエリア内に侵入することができており、その勢いのまま追加点を奪ってもおかしくはなかった。先制ゴールを挙げたデニスがサポーターを煽るなど、会場も盛り上がりを見せた。
しかし、ユナイテッドも粘りを見せる。35分、相手のスローインミスを敵陣内で奪ったマルシャルがドリブルで前進。そのままゴール前へ向かい、最後は右足で冷静に流し込んだ。前半はこのまま1-1で終了している。
リンガード&A・ペレイラの限界
後半は両チームともにほとんどテンポが上がらず、少し退屈な試合展開となった。もちろん、お互いに何度かチャンスは作ったが、その他の場面では前半と同じくスピードの上がらないパス回しが続く。疲労の出てくる後半はとくにプレスの強度も落ち、その分パス回しに余裕が生まれたことで、なんとも言えない展開になってしまった。
結局、ユナイテッドはシュート数16本を放ったものの、枠内に飛んだのはわずか4本で1得点止まり。ブルージュもシュート数10本で枠内に飛んだのは3本と、しょっぱい数字が残ってしまった。
クラブ公式サイトによると、オーレ・グンナー・スールシャール監督は試合後に「ほぼ人工芝のようで難しいコンディションだった。ボールが跳ね、転がる速度が非常に速かった。どういう結果になってもおかしくなかった展開で、アウェイゴールを奪えた。アント(マルシャル)のゴールは良かったね。我々はもっと良いプレーができる」と話していたという。どちらかと言うとポジティブなコメントが多く見受けられるが、それでよいのかどうか…。
しかし、スールシャール監督の采配などにも疑問は残ったが、選手のパフォーマンス自体もあまり評価はできない。とくにMFジェシー・リンガード、MFアンドレアス・ペレイラの両者は、低パフォーマンスに終わった代表格と言えるのではないだろうか。
とにかく2人ともスピードがまったく上がらず、効果的なプレーが一度あったかどうかというレベルだった。とくにリンガードは点が欲しい試合でシャドーという攻撃的なポジションを任されたにも関わらず、怖さがまったく引き出されなかった。決定的なパスを1本繰り出しているとはいえ、やはりこのポジションを担う選手が低調なパフォーマンスでは、点が生まれないのは当たり前だ。
A・ペレイラは攻守両面でちぐはぐなプレーが目立つ。積極性があるわけでもなし、ミスも多い。攻撃のアクセントになるわけでもなければ、守備面で絶大な存在感を放ったわけでもない。これまで様々なポジションで起用されるなどチャンスは得てきたが、ここまで来るともう限界だと言わざるを得ない。
MFフレッジとMFブルーノ・フェルナンデスが途中でピッチに入ってから流れが変わり出したという事実こそ、リンガードとA・ペレイラの力不足である何よりの証拠。B・フェルナンデスに関してはわずか15分ほどのプレーでチーム最多となる4本のシュートを記録している。差は明らかだ。
MFポール・ポグバ、MFスコット・マクトミネイが離脱中で、今後B・フェルナンデスやフレッジ、MFネマニャ・マティッチらも何らかの理由で離脱を余儀なくされる可能性も否めない。そうなると必然的にリンガード、A・ペレイラに出番は回ってくる。それは大きな不安だ。来夏には移籍金を積んでくれるクラブへ売却するのが、彼らが歩む線路ではないか。
ちなみにリンガード、A・ペレイラの両者はここまでELでアシスト数0(リンガードは1得点しているが)だが、この日、GKミニョレにアシスト数「1」がつくことになった。
(文:小澤祐作)
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