ネイマールの貴重な同点ゴール
貴重なアウェイゴールを奪ったのは、肋骨のケガから復帰したネイマールだった。しかし、試合を通じて見れば終始ボルシア・ドルトムントの守備陣に封じられていた印象が強かった。
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パリ・サンジェルマンは69分に先制点を献上した。左サイドからクロスを入れられ、中央でラファエル・ゲレイロが合わせる。シュートはDFに当たったが、これにアーリング・ハーランドが反応してゴールに押し込んだ。
しかし、アウェイのPSGも黙ってはいない。75分に中盤に降りてきたキリアン・エムバペが前を向くと、ドリブルで2人を縦に抜き去る。タッチライン際からグラウンダーのボールを折り返すと、ゴール前で待っていたネイマールがゴールに流し込んだ。
PSGは3-4-2-1のシステムで、ネイマールは左シャドーでプレーしている。対するドルトムントも同じく3-4-2-1で、対面するのは右センターバックに入ったウカシュ・ピシュチェク。香川真司と同じタイミングでドルトムントに加入し、在籍10年目を迎えるベテランがPSGのエースを完封した。
繰り返された悪行
時間の経過とともにネイマールがボールをもらいに降りてくる回数が増えていくが、ピシュチェクはどこまでもついていった。それが顕著だったのは72分のシーンで、PSG陣内までネイマールを追いかけてボールを刈り取っている。6月に35歳になるベテランの激しくも老獪なディフェンスが、PSGの攻撃を無力化させた。
ピシュチェクだけでなく、マッツ・フンメルスや、ダン=アクセル・ザガドゥも相手FWに対してマンマーク気味に対応した。彼らが前に出ることでDFラインにスペースが生まれるが、両ウイングバックもDFラインに加わって穴を塞ぐ。DFラインの隙間を突かれるシーンは、90分を通してほとんどなかった。
ネイマールは次第に苛立ちが募っていく。33分にマルコ・ヴェラッティがロングパスでネイマールを狙う。パスが少し大きくなり、ピシュチェクとアシュラフ・ハキミが身体を寄せた。ボールがタッチラインを割る瞬間、ネイマールはあろうことかハキミを後ろから小突いてしまった。
ネイマールもすぐに我に返ったのだろう。すぐにハキミに手を差し伸べて事なきを得たが、フラストレーションを溜めていることはプレーを見るに明らかだった。
59分には中盤で囲まれて、トルガン・アザールにボールを奪われた。すると直後のプレーでパスを受けたアクセル・ヴィツェルにプレスをかけて倒してしまう。両者がもつれて倒れた際に、ネイマールの右肘がヴィツェルのあごに入ってしまった。
主審はネイマールにイエローカードを提示した。当の本人は判定に納得がいっていない様子を見せていたが、警告に値する悪質なプレーだった。
ネイマールのゴールで希望はつながった
ネイマールにチャンスがないわけではなかった。スタッツで見てもチーム最多の6本のシュートを放っている。しかし、PSGが90%のパス成功率を記録しながら、ネイマールはチームワーストの66%だった。数にして20回のパスミスを記録したネイマールのところで、PSGはボールを失い続けた。
ドルトムントからしてみれば、PSGの攻撃陣を終始制圧していただけに、失点シーンが悔やまれる結果となった。エムバペはマッチアップした17歳のジョバンニ・レイナをドリブルで交わしてスピードに乗ると、間合いを詰めてきたザガドゥが伸ばした長い脚も抜いていった。
試合はネイマールの同点弾が生まれた直後にドルトムントが勝ち越した。フンメルスの縦パスを受けたレイナが前を向くと、中央のハーランドにパス。ミドルレンジから左足を振り抜くと、ボールはゴールネットへ突き刺さった。
PSGは敗れたが、1点差でアウェイゴールを奪ったことで準々決勝進出のチャンスを十分に残している。気がかりなのは、トマ・ムニエとヴェラッティが次戦は出場停止となることだ。この試合で封じられたネイマールも含めて、2ndレグまでの3週間でトーマス・トゥヘル監督は何かしらの策を打ってくるだろう。
(文:加藤健一)
【了】