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マンUはなぜビッグ6に強いのか? 上位浮上のヒントに。チェルシーは4つの不運が足かせに…

プレミアリーグ第26節、チェルシー対マンチェスター・ユナイテッドが現地時間17日に行われ、0-2でユナイテッドが勝利を収めた。チェルシーは後半に2回ゴールネットを揺らしたが、どちらもゴールが認められず。度重なる不運に泣く形でビッグマッチを落としている。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

スコア以上に拮抗したビッグマッチ

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【写真:Getty Images】

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内を死守したい4位・チェルシーと、上位との差を詰めたい9位・マンチェスター・ユナイテッドの一戦は例にもれず、拮抗した好ゲームとなった。

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 両チームともに3戦未勝利で2週間のインターバルを過ごした。チェルシーはこの試合でタイミー・エイブラハムやクリスティアン・プリシッチがベンチを外れている。最前線にはミチ・バチュアイが今季初めて、左ウイングにはペドロがレスター戦に続いて先発で起用された。

 3バックを採用したユナイテッドは、左からルーク・ショー、ハリー・マグアイア、エリック・バイリーを並べた。ヴィクトル・リンデロフが体調不良で欠場となり、膝のケガで前半戦を棒に振ったバイリーに今季初出場のチャンスが回ってきた。前線にはダニエル・ジェームズとアントニー・マルシアルが並び、トップ下には新加入のブルーノ・フェルナンデスが入った。

 前半のシュートは、チェルシーが7本でユナイテッドが6本。両チーム通じて初の枠内シュートがマルシアルの先制ゴールとなった。45分にアーロン・ワン=ビサカのクロスをニアに走り込み、頭で合わせてゴールを決めた。

 66分にはフェルナンデスの左CKを、ファーサイドから走り込んできたマグワイアが頭で決め、ユナイテッドが追加点を挙げる。終盤はチェルシーの反撃をしのいだユナイテッドが、リーグ戦では1月11日以来となる勝利を収めた。

チェルシーの不運

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【写真:Getty Images】

 0-2で敗れたチェルシーはこれでリーグ戦4戦未勝利となった。しかし、パフォーマンスがユナイテッドに大きく劣っていたわけではない。相手の約2倍となる17本のシュートを放ち、後半は相手を2本のシュートに抑えている。しかし、90分で4度起きた不運な出来事が、チェルシーを敗北へと向かわせた。

 一つ目は前半開始から間もなく訪れた。10分も立たないうちにエヌゴロ・カンテがプレー続行不可能になってしまった。映像から推察するに、7分30秒あたりのシーンでルーク・ショーのドリブルに足を出した際に外転筋を痛めたようだ。

 序盤戦は負傷を繰り返したが、直近では14試合中13試合に出場していたカンテ。ピッチ全体にエナジーを注入できる存在はビッグマッチに欠かせなかったが、予想以上に早い交代を強いられた。トップ4を死守する上でも重要な戦力だっただけに、チェルシーからしてみれば軽傷を願うばかりだ。

 2つ目の不運も前半だった。ユナイテッドは42分にブランドン・ウィリアムズが縦パスをアントニー・マルシアルに入れる。後ろからアンドレアス・クリステンセンが身体を寄せたが、マルシアルの肘がクリステンセンの顔に入ってしまった。

 出血したクリステンセンは数分後にピッチに戻ることができたが、直後に件の失点シーンに絡んでしまった。マルシアルをマークしていたのはクリスティアン。直前のプレーの恐怖があったかはわからないが、ニアに飛び込むマルシアルについていくことができなかった。

納得しがたいVAR

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【写真:Getty Images】

 1点のビハインドで前半を折り返したチェルシーに3度目の不運が襲う。クリスティアンに代わって後半開始からピッチに入ったクルト・ズマが右CKを右足で合わせて同点。と思われたが、ニアサイドでセサル・アスピリクエタのファールがあり、得点は認められなかった。

 確かにアスピリクエタがブランドン・ウィリアムズを後ろから押し倒しているが、それを言うのであれば、アスピリクエタをマークしていたフレッジがアスピリクエタを後ろから押している。フレッジに押されたアスピリクエタが勢いそのままにウィリアムズを倒したようにも見えただけに、VARの判定はチェルシーからしてみれば納得しがたいものだった。

 ユナイテッドに追加点を許したチェルシーは77分、前半にカンテと交代で入ったマウントが右サイドでフリーになってクロスを上げる。バチュアイに代わって入ったオリビエ・ジルーが頭で合わせてゴールネットを揺らしたが、VARチェックによりオフサイドがとられた。どうやらジルーのつま先がわずかに出ていたようだった。

 不測の事態で前半から2枚の交代カードを切らざるを得なかった。後半にはゴールネットを2度揺らしたが、どちらもVARによってゴールが認められなかった。VARの判断はチェルシー側にしてみれば気の毒な裁定だったと言えるだろう。

ユナイテッドが這い上がるためのヒント

 ユナイテッドはビッグ6相手にめっぽう強い。今季はチェルシーにはダブル(2勝)を達成し、4勝2敗2分の星を残している。上位5クラブ相手にも7試合で5勝を挙げている。白星を挙げられなかったのはリバプール戦のみで、リバプールが唯一勝ち点3を逃したのもユナイテッドだった。

 なぜこの順位にいるのかという理由はさておいて、上位陣相手に強さを発揮しているのは紛れもない事実。実際にこのチェルシー戦でも拮抗した戦いをものにしている。

 この試合では3バックが採用された。ボールを持った際はバイリーとショーが積極的に攻撃に関わり、ウイングバックを追い越していく動きには相手も苦戦しているように見えた。守備に比重を置く時間帯は5バックでブロックを敷いて守りを固めていた。

 ユナイテッドは上位5クラブとのすべての試合でボール保持率は50%を下回っている。ある程度は相手にボールを渡しながら、機を見て少ない手数で相手ゴールに迫る戦い方が功を奏しているのではないだろうか。

 さらに、この試合でアシストをマークしたフェルナンデスはトップ4に入るためのキーマンになるだろう。この試合では66分に、インスイングの左CKからマグワイアのヘディング弾をアシスト。質の高いボールを蹴れるセットプレーのキッカーが不在のユナイテッドにとって、フェルナンデスはうってつけの人材だ。

 フェルナンデスの貢献はセットプレーだけにはとどまらない。チャンスクリエイト数はチーム最多の3をマーク。連係面はこれからさらに向上すると思われるだけに、司令塔としての役割を担えるだけの力をビッグマッチで証明したと言える。

 ライバル、マンチェスター・シティの財政面での問題により、UEFAチャンピオンズリーグ出場権のハードルは事実上4位から5位へ下がった。順位を7位に上げたユナイテッドは、3月にシティ、トッテナム、シェフィールドとの上位対決を控えているが、この試合は上位に這い上がるためのヒントになりそうだ。

(文:加藤健一)

【了】

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