レバンドフスキとは雲泥の差
“令和の怪物”が敵を翻弄した。2月14日に行われたブンデスリーガ第22節。前半戦の最後の試合から4バックに切り替え、ここ数試合しぶとく結果を残してきたアイントラハト・フランクフルトの守備陣は、ノルウェー人の青年によって崩壊の一途を辿った。
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規格外のFWアーリング・ブラウト・ハーランドが今夜も輝いた。3点目を決めてチームの快勝劇に貢献する。今冬、レッドブル・ザルツブルクから完全移籍で加入したノルウェー代表FWは、ブンデス5試合目で早くも8得点目を決めたのである。その悠々とゴールを決める様を見せつけられると、まるでブンデスリーガはハーランドの遊戯場のようですらある。
フランクフルト戦で[3-4-3]のシステムを敷いたドルトムント。ハーランドは1トップのポジションで出場した。
オーストリアからやってきた新星FWは、若さに違わずもちろん荒削りの部分もある。CBダン=アクセル・ザガドゥからの縦パスをあさっての方向に返してしまった20分の場面のように、まだまだポストプレーが不安定だ。まだ19歳なのだから当然と言えば当然かもしれないが、ボールを収める力という点では、例えばロベルト・レバンドフスキと比べると雲泥の差がある。
また、ダイレクトプレーを織り交ぜた味方との連携も構築している段階のようだ。まだブンデスでプレーして5試合目なのだから、それも当然と言えば当然なのだが、いずれにせよ現時点でハーランドは、決してレバンドフスキのような万能型のFWというわけではない。
CLでもカギを握る19歳
しかし決定力という点では、バイエルン・ミュンヘンの最前線に立つポーランド代表FWに近いものがある。194cmと長身だが、ザルツブルク時代も含めてヘディングでの得点パターンが極めて少なく、この部分もまだまだ改善の余地があるが、DFラインの背後に抜け出すスピードとタイミングは抜群で、点で合わせてフィニッシュに持ち込む形が得意のようだ。
今回のフランクフルト戦では、54分、ゴール前で瞬間的にギアを上げてCBダヴィド・アブラハムのマークを外し、アシュラフ・ハキミからのボールを押し込んで点を決めた。巨体に似合わず攻守の切り替えに俊敏で、プレッシングも精力的にこなして前線で幅広く動く様子は、やはりレバンドフスキに通じるものがある。
そして厄介なのは、ハーランドにばかり気を取られていると、他の選手にやられてしまう、という点である。49分の2点目は、ファーにポジションに取ったハーランドがアブラハムとマルティン・ヒンターレッガーの両CBを引きつけ、空いたスペースをジェイドン・サンチョが悠々と駆け抜けて奪ったものだ。ハーランドと同い年のイングランド代表FWは、スライディングで飛び込んできたアブラハムをかわして決め切った。
試合後、マッツ・フンメルスは「前線の若い選手たちはゴールを脅かす危険な存在だったね」とコメント。ハーランドを抑えたとしても、サンチョがいる。そして先制点はウカシュ・ピシュチェクがミドルシュートで決めたように、他の選手たちも決定力は高い。“令和の怪物”を抑え込んだとしても、ドルトムントそのものを封じ込めることにはならないのだ。
来たる18日のCLパリ・サンジェルマン戦でカギを握るのは、スケールが違うこの男かもしれない。
(取材・文:本田千尋)
【了】