ベテランと新戦力の融合がカギ
昨季の横浜FCは13試合を終えた段階で、2017年10月からチームを率いてきたエジソン・アラウージョ・タヴァレスを解任した。この時点で順位は14位。ヘッドコーチから昇格した下平隆宏監督はベテランが多く在籍するチームをうまく操縦し、松井大輔や中村俊輔を中盤の底で起用するといった采配も功を奏した。5月の監督就任から19勝3敗7分けとチームを立て直し、2位でJ1への自動昇格を決めた。
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来る13年ぶりのJ1の舞台へ、メンバーを大幅に入れ替えている。昨季は特別指定選手として21試合に出場し、仙台大学から正式に加入した松尾佑介を含めて13人の選手がチームに加わっている。
40歳の大ベテラン南雄太、昨季は9試合でプレーした竹重安希彦が控えるGK陣には元日本代表の六反勇治が加わった。昨年8月に発症したオーバートレーニング症候群からの復帰を目指している六反の存在は、チームにプラスの影響を与えることになるだろう。
センターバックにはヴィッセル神戸から小林友希を期限付き移籍で獲得した。ヴィッセルの育成組織出身の19歳は、昨季後半戦でプレーした町田ゼルビアで15試合に出場して飛躍のきっかけを掴んだ。伊野波雅彦、カルフィン・ヨンアピンが昨季は主力を務めたが、飛躍する可能性も秘めている。
在籍2年間で75試合に出場し、不動の右サイドバックとして活躍した北爪健吾は、同じ昇格組の柏レイソルに引き抜かれた。代役として川崎フロンターレからマギーニョを獲得したが、来日1年目の昨季は8試合出場にとどまっているだけに、チームにフィットできるかは未知数と言えるだろう。
中盤には松井と中村に加えて、田代真一と佐藤謙介と候補者は多い。柏レイソルから期限付きで加入した手塚康平はユース時代も含めて5年半も下平監督を師事しているだけに、指揮官にとっては心強い補強になった。サイドハーフの陣容に大きな変化はないが、昨季は特別指定選手だった松尾と大卒ルーキーだった中山克広、18歳の斉藤光毅はそれぞれ6得点をマーク。若い彼らのさらなる飛躍が期待されるところだ。
6得点6アシストをマークしたレアンドロ・ドミンゲスが務めるトップ下には斉藤が代役に控えている。チーム得点王のイバや皆川祐介が昨季は務めることの多かったセンターフォワードには、東京五輪世代の一美和成がガンバ大阪から期限付きで加入。181cmの体躯を活かしたポストプレーに加えて決定力に磨きがかかれば、チームにとっては大きな戦力アップになるだろう。
30代のベテランたちが大半を占めた昨季の主力のほとんどを残留させることができた。若手を中心に新戦力を獲得したが、J1での実績がある選手は少ない。ベテランと若い力の融合が進まなければ、J1残留への道のりは険しくなるだろう。