オフほぼなしの過密日程だが…
Jリーグ史上初のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフ敗退もやむなしだったか。元日に天皇杯決勝を戦っていた鹿島アントラーズは、ほとんど休みなく新シーズンに向けた準備を始めなければならなかった。
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主力と出場機会の少なかった選手たち、そして新加入組でそれぞれオフ期間の長さにバラつきがあり、先月28日に行われたAFC予選プレーオフのメルボルン・ビクトリー戦までに全員が揃って練習できたのは2週間足らず。
コンディションを同じレベルまで調整することも、ザーゴ新監督の戦術をチームに浸透させるのも困難だったはずだ。こうしてACL本戦出場は逃したものの、新シーズンに向けてネガティヴな側面より、むしろポジティブな側面が大きいと言える。
中国2部の長春亜泰へ移籍したMFセルジーニョをはじめ、レンタル元の名古屋グランパスへと戻ったMF相馬勇紀、母国韓国の蔚山現代FCへと去ったDFチョン・スンヒョンなど一部の実力者たちは抜けたが、新戦力の補強は彼らの穴を補ってあまりあるものとなった。
例えば昨季は故障者続出で人員不足に陥ったサイドバックはリーグ屈指の陣容になっている。ベガルタ仙台から昨季10アシストのDF永戸勝也が加わり、左サイドで東京五輪世代のU-23日本代表DF杉岡大暉とポジションを争うことになるだろう。
右サイドには横浜F・マリノスでJ1優勝を経験して逞しさを増したDF広瀬陸斗が加入した。また川崎フロンターレから移籍してきたDF奈良竜樹も含め、ディフェンスラインは充実のラインナップとなっている。当然ながら各選手の成長に大きな刺激を与えるであろう激しいポジション争いもある。
中盤には攻撃的なポジションを幅広くこなせるMF和泉竜司を、他クラブとの競合の末に獲得。インテルナシオナルから加入したブラジル人MFファン・アラーノは抜群のテクニックと献身性を兼ね備えた今冬の補強の目玉だ。
昨季ブラジル全国選手権1部で13得点を挙げた、同じく新加入の長身FWエヴェラウドを生かすことができれば攻撃の破壊力は昨年を超えられる。新ブラジル人助っ人たちのゴール量産が実現すればタイトル獲得は大きく近づける。
全国高校サッカー選手権優勝の静岡学園から加わる快足ドリブラーのMF松村優太、同世代の高校No.1ストライカーと称された尚志高校出身のFW染野唯月、東福岡高校で10番を背負っていた司令塔のMF荒木遼太郎といった、向こう10年の鹿島を背負うことも期待される将来性豊かな高卒の若手選手たちの魅力も溢れる。
昨季は天皇杯決勝でヴィッセル神戸に敗れ無冠に終わった鹿島。オフが極めて短かったことによるコンディション面への影響は懸念されるものの、今季は常勝復活を目指しザーゴ新監督を招へいし、すでにチーム改革は始まっている。ACL優勝の夢は絶たれてしまったが、充実の新戦力たちとともにJリーグの覇権奪回が最重要ミッションだ。