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水沼宏太、「2度と行くか!」と思った古巣に10年ぶり復帰で「やっぱりマリノスが好き」

text by 編集部 photo by Wataru Funaki

水沼宏太
10年ぶりに横浜F・マリノス復帰を果たしたMF水沼宏太【写真:舩木渉】

 横浜F・マリノスは11日、横浜市内で来たる2020シーズンに向けた新体制発表会を行なった。

 お披露目された新加入選手は、今季の期限付き移籍が決まっているユースから昇格の2人も含めて11人。中でも注目は2010シーズン以来、10年ぶりの古巣マリノス復帰となったMF水沼宏太だ。

 マリノスの育成組織出身で2007年にトップチーム昇格を果たした水沼だったが、なかなか出場機会をつかむことができず2010シーズン途中に栃木SCへの移籍。それからサガン鳥栖やFC東京、セレッソ大阪を渡り歩き、10シーズンぶりのマリノス復帰を果たした。

 新体制発表会の中で「以前マリノスにいた時に、ユースから昇格して何もできなかったので、その悔しさで、正直なところ『2度とマリノスなんて行ってやるか!』と思ったくらい」と明かした29歳は、それでも9年半ぶりにアプローチを受けて“マリノス愛”を再確認したという。

「ユニフォームを着るとやっぱり、『本当に帰ってきたんだな…』と。昔憧れていたチームのユニフォームはマリノスだったなというのは、自分の心の中から湧き上がってきたので、『やっぱりマリノスが好きだったんだな』というのは、自分の中ではあります」

 栃木SC、サガン鳥栖、FC東京、セレッソとステップを上がりながら、Jリーグ屈指の右クロッサーとしての評価を高めてきた。そうやって成長してきた自分を評価してくれたからこそ、前年度のJ1優勝クラブも改めて水沼の実力を認めて新戦力として獲得するに至ったはずだ。

「今までオファーが1回も来たことがなかった。マリノスが優勝したタイミングで(オファーが)来たということは、連覇するために呼んでくれたということだと思うので、すごく嬉しかったのが率直な感想です。

昔は『オファーが来ても行くか!』と思っていたくらいだったので、いざ来たらめちゃくちゃ嬉しかったし、今までやってきたことが認められたのかなというのもある。それこそ連覇するために必要としてくれたというのは本当に嬉しかったなと思います」

 10年ぶりのトリコロールのユニフォームに袖を通し、今季は18番を背負う。ベテランと呼ばれる年齢になって、単純にチームの戦力として貢献するだけでなく、セレッソ時代に積み重ねたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)での経験値をチームに伝える役割も期待されているだろう。

「今まで外でやってきたプレーを認めてもらえたのもそうですし、昔マリノス(のトップチーム)に上がって何も成し遂げられなかった、点も取ったことがない、そういう思い出しかないので、『今は違うぞ』というところを見せたい気持ちがすごく強かったです」

 厳しい日程での戦いが続いてもタフに戦える水沼の存在は、マリノスにとって新たな戦術オプションを増やす重要なものになるはず。「試合をできる喜びを噛み締めて、自分たちのサッカーをアジアに知らしめること頭に置いておけば、どんどん体は動いて来ると思うし、どんどん目標も高くなってくると思う」と、水沼はマリノスの連覇とACLでの戦いに向けて決意を新たにしていた。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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