20歳にしてU-23サウジアラビア代表の9番を任されるFWアブドゥラー・アル・ハマダン【写真:Getty Images】
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サッカーU-23日本代表が出場するAFC U-23選手権(東京五輪アジア最終予選)がタイで開幕した。森保一監督率いるU-23日本代表は9日にU-23サウジアラビア代表と対戦する。
サウジアラビアとはA代表が昨年のアジアカップで、U-19代表が一昨年のAFC U-19選手権で対戦している。東京五輪世代の選手たちはU-21代表だった一昨年のアジア大会準々決勝でも当たっており、中東の謎の国から馴染みのある対戦相手になりつつある。
当時、サウジアラビアも日本と同じくU-21代表でアジア大会に臨んでいた。最終的にはFW岩崎悠人の2ゴールで勝利を収めたものの、森保ジャパンは中東の強豪にかなり苦しめられたのは間違いない。
ただ、サウジアラビアで1年半前のU-21代表に選出されていて、今回の東京五輪予選に出場するためのU-23代表に生き残ったのは8人だけだ。アジア大会の中国代表戦でハットトリックを達成して強烈なインパクトを残したFWハールーン・カマラですらメンバーから漏れるようになり、チームはメンバーも戦術も大きく様変わりしていると言っていい。
特により若い世代からの台頭が目覚ましい。2018年10月から11月にかけてインドネシアで開催されたAFC U-19選手権の準決勝でMF久保建英擁した日本を破り、優勝を果たした当時のU-19サウジアラビア代表メンバーが6人、今回のU-23代表に名を連ねている。
また、AFC U-23選手権出場のU-23サウジアラビア代表にはA代表経験者が8人含まれているが、そのうち半分の4人は20歳以下の選手で、9番のアブドゥラー・アル・ハマダンのようにすでにカタールワールドカップアジア2次予選や、中東最強を決めるガルフカップ決勝でゴールを挙げている者もいる。
2017年のU-20ワールドカップに出場したメンバーもいるなど、若くして国際経験が豊富な選手が多いというのは彼らにとってアドバンテージになるだろう。10番を背負うアイマン・アル・クライフなどは日本とも対戦経験を持つが、スピードと得点力を兼ね備え中央にもサイドにも対応できる実に厄介なアタッカーだ。
さらに今大会は欧州育ちの帰還選手もいる。サウジアラビア産まれのソマリ人ながらチェルシーで育成され、オランダ1部フィテッセでもプレーした経験を持つ20番のムクタール・アリはU-17世代までイングランド代表だった。
一方、戦術面に不安は残る。昨年3月のAFC U-23選手権予選までは4-1-4-1をベースに戦ってきていたが、最近の試合では4-4-2にシステムを変えたようだ。昨年9月にはU-23ウズベキスタン代表と2-2で引き分け、同11月にはU-23韓国代表に0-2で敗れている。
4-1-4-1の頃は前線からの積極的なプレッシングとカウンターに日本も大いに苦しめられ、A代表に近い後方からの丁寧なビルドアップなどポゼッション的な志向も感じ取れる強力なチームという印象だった。
4-4-2で戦った昨年11月の韓国戦などは2トップの守備意識が低く、それに引っ張られるように守備ブロックがバランスを崩す場面が多く見られた。サイドに素早くつけてダイナミックに展開する攻撃の迫力や個々の1対1などには強いものの、守備時はそれぞれの動きが組織として連動して機能せず、時に集中を切らす悪癖や終盤にガス欠を起こす課題もそのままだ。
東京五輪で金メダル獲得を目指すU-23日本代表には、アジア大会のサウジアラビア戦を経験したメンバーも、AFC U-19選手権でサウジアラビアに敗れて悔しい思いをした選手たちもいる。難しい試合になることがわかっているからこそ気を引き締める、あるいは絶対にもう一度負けたくないと闘志を燃やす者もいればチーム全体のモチベーションも俄然上がっていくだろう。
グループリーグ突破に向けて重要な大会の初戦、臨機応変にサウジアラビアの嫌がるところを突き続け、盤石の戦いで勝利をもぎ取りたいところだ。
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