夏場の選手補強が浮上のキッカケに
明治安田生命J1リーグを2度、リーグカップ2度、天皇杯4度、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)1度の優勝を誇る国内屈指の名門・ガンバ大阪。しかし、2018シーズンは残留争いを強いられるなど、ここ最近は低迷が続いている。
宮本恒靖監督の下で迎えた2019シーズンも、G大阪は苦戦を強いられた。開幕戦の横浜F・マリノス戦を2-3で落とした同クラブは、第2節と第4節でこそ勝利を挙げたものの、第5節のヴィッセル神戸戦から第11節のサガン鳥栖戦まで白星から遠ざかるなど低迷。第12節の大阪ダービーで勝利し、息を吹き返すかと思われたが、その後3試合連続ドローに終わるなど、一時は17位にまで転落している。
2季連続で残留争いに巻き込まれることになったG大阪。だが、こうした成績を受けたクラブの判断は早かった。G大阪は昨夏にFW宇佐美貴史、MF井手口陽介、FWパトリックなどクラブの黄金期を支えた選手を続々と獲得。FWファン・ウィジョ、FW食野亮太郎などは海外クラブへと去ったが、後半戦での巻き返しへ向け、十分なスカッドを揃えることに成功している。
とくに宇佐美の復帰はG大阪にとって大きかった。ドイツではなかなか芽が出なかった同選手であったが、復帰戦となった名古屋グランパス戦ではさっそくチームを救うAT弾を決めるなどエースとしての仕事を全う。試合によってパフォーマンスの波があった点は否めないが、リーグ戦ラスト5試合で5得点をたたき出すなど、終盤の爆発力は凄まじかった。
宇佐美の復帰により、FWアデミウソンのコンディションも徐々に上がっていった。同選手は今季、リーグ戦で10得点を叩き出しているが、そのうちの6得点が宇佐美復帰後に奪ったもの。彼らのコンビネーションは、チームの攻撃力をグッと引き上げたと言えるだろう。
新加入選手の活躍などもあり、G大阪は最終的にリーグ戦を7位でフィニッシュ。2季連続で残留争いに巻き込まれたのは事実だが、前半戦のパフォーマンスを考えれば十分な順位であると言える。
評価すべきは攻撃陣の奮闘だと言えるだろう。G大阪は今季のリーグ戦で計54得点を奪っているが、これはリーグ4位タイの成績である。無得点に終わった試合はわずか5回であり、宇佐美ら新戦力が加わった後半戦は無得点試合が1度もない。北海道コンサドーレ札幌から5得点を奪うなど、とくに終盤の勢いはもはや止められなかった。
一方で課題が残ったのは守備陣。リーグ戦全34試合で48失点はいただけない数字だ。G大阪は今季、4バックや3バックなど様々なシステムを使い分けたが、ディフェンスの強度はなかなか上がり切らなかった。
今季より加入したDFキム・ヨングォンとDFリーダーであるDF三浦弦太が、強固な連係を築くのに予想以上に時間がかかった。さらに不動のサイドバックであるDF藤春廣輝の長期離脱も大きく響いたと言えるだろう。井手口加入後は安定したが、前半戦は中盤の守備強度もそこまで高いとは言えなかった。このあたりは、G大阪が抱えた問題点であった。
結局、G大阪は4季連続で無冠に終わってしまった。しかし、終盤の戦いぶりは大きく評価でき、来季への期待を抱かせるものがあったと言える。2020シーズンこそ、タイトル奪還を果たすことができるか。