「技術やフィジカルだけではなく、メンタル的な要素も重要」
──セネガル戦の後、川島選手は一層批判にさらされるようになりました。実際には1、2戦を問わず、失点につながった場面よりも、チームのピンチを救った場面のほうが多かったにもかかわらずです。でも大会期間中は、あえて批判を正面から受け止めてメディアの前に姿を現し続けた。グループリーグ3戦目のポーランド戦では、試合前日の記者会見にも西野監督と登壇されています。ワールドカップのような極限状況の中で、気持ちを切り替えていくのは大変ではなかったでしょうか?
「もちろん簡単ではなかったです。(セネガル戦で)ああいうシーンがあったのは事実だし、試合に負ける可能性もあったわけですから。でも結果的にチームメイトに救われて、セネガル戦でも勝ち点1を取ることができた。そういう状況の中で、自分が気持ちを引きずっていたりすれば、チーム全体にとってもマイナスになってしまう。
むしろ一番大事なのは、ミスをしてしまった後にどういうリアクションができるか、次の試合で何ができるかになってくる。やはりGKの場合は、技術やフィジカル的な要素だけではなく、メンタル的な要素も重要になるんです」
──実際、3戦目のポーランド戦では、それまで批判をしていた評論家が脱帽するような、すばらしいセービングも披露しています。前半32分、相手FWが右からのクロスに頭を合わせた場面などでは、片手一本で強烈なシュートを弾き、決勝トーナメント進出の望みをつなぎました。これも気持ちの切り替えができていたからこそ、可能になったものではないでしょうか?
「たとえば後半の早い時間にボールをカットしたシーンでは、ギリギリのところで、どれだけ攻めた判断をできるのかが問われていたと思います。ゴールを守ることだけを考えていたら、判断が遅くなっていたシーンでもあったので。
あの場面では、たしかにボールの軌道が多少、自分のほうにずれてきた面もある。でも相手の側にずれていたとしても、8割くらいの確率で自分のボールにできるようなタイミングで、前に出ることができていたと思います」
(取材・文:田邊雅之)
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