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Jリーグ 5年前

Jリーグ合同トライアウトに参加、ベトナム期待の2人の若手はどんな選手か? ベトナム精通記者が解説

Jリーグ合同トライアウトにベトナムから2人の若手選手が参加した。U-23ベトナム代表候補のMFマーティン・ロー(22歳)とU-19代表MFフイン・コン・デン(18歳)について、ベトナムサッカーに精通する記者が解説する。(取材・文:宇佐美淳)

text by 宇佐美淳 photo by Jun Usami

MVにも出演するイケメン選手

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Jリーグ合同トライアウトに参加したマーティン・ロー(左)とフイン・コン・デン(右)【写真:宇佐美淳】

 日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催するJリーグ合同トライアウト2019が千葉県フクダ電子アリーナで12月16日・17日に実施された。

 今年はベトナムの若手選手2人が参加。ベトナムサッカーは韓国人指揮官パク・ハンソ監督の就任以来、躍進を続けており、FIFAランキングは12月時点で東南アジアトップの94位。この2年でAFFスズキカップとSEA Gamesの東南アジア2大タイトルを獲得。ベトナムは10年以上前から若手育成に注力した成果が見え始めて、優秀な若手が次々と台頭するなどポテンシャルが非常に高い。

 サッカーだけでなく、国自体の経済発展が目覚ましいこと、日本に住むベトナム人の数が急増していることなどから、Jリーグアジア戦略の次なる開拓地としてベトナムは最も注目される東南アジアの国と言えよう。

 そんなベトナムから今回のJリーグ合同トライアウトに参加したのが、U-23代表候補のMFマーティン・ロー(22歳)とU-19代表MFフイン・コン・デン(18歳)の2人。両選手は今シーズン、ベトナム2部フォーヒエンFCに所属。チームは今季リーグ2位という好成績で入れ替え戦に進んだが、ここで敗れて惜しくも1部昇格はならなかった。

 ミュージックビデオにも出演するなどイケメン選手として有名なマーティン・ローは、オーストラリア・シドニー出身で英語はネイティブ。地元のウェスタン・シドニー・ワンダラーズの下部組織で育ち、トップチーム時代は元日本代表MF小野伸二とも一緒にプレーしたことがある。

 正確なトラップとキック、判断力の速さが特徴のセントラルミッドフィルダーだ。2019年初めから新たなチャレンジとして、ベトナム代表のユニフォームの袖を通すことを目標に、両親の祖国ベトナムに戻って、強豪PVFアカデミーを母体とする新興クラブのフォーヒエンFCに入団。すぐさまレギュラーに定着し、攻撃の起点として大活躍した。

AFC U-19選手権予選突破に貢献の18歳

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「いつか日本でプレーしてみたいという気持ちが一段と強くなった」と2人は口を揃えて言う【写真:宇佐美淳】

 一方のフイン・コン・デンは、PVFアカデミーの期待の若手。ポジションは、マーティンと同じくセントラルミッドフィルダー。年代別のベトナム代表で活躍し、フィリップ・トルシエ(元日本代表監督)が率いるU-19ベトナム代表にも選出されている。

 11月にホーチミン市で開催されたAFC U-19選手権予選では影山ジャパンとも対戦してスコアレスドロー。この結果、ベトナムは2位での予選突破が確定。フイン・コン・デンはこの試合でフル出場して格上日本とのドローに貢献した。

 PVFのU-15チームに所属していた3年前は、当時提携関係にあったガンバ大阪から派遣された町中大輔氏の指導を受けている。今シーズンはPVFに籍を置きながら、2部フォーヒエンFCで実戦経験を積み、選手として一回り成長を遂げたようだ。

 マーティン・ローは、合同トライアウトに向けた調整のため、J3長野パルセイロで12月12日・13日に練習参加し、僅かながら日本の環境に慣れる時間があった。長野の横山雄次監督はマーティン・ローについて、「技術的にしっかりしており、細かいステップとクイックネスで相手をかわすことが上手い選手だと感じた」と評価。

 2日間の練習を終えたマーティンは、「久しぶりに充実したトレーニングに参加できて満足している。選手たちが積極的にハードワークしてダイナミックなトレーニングだった。ベトナムよりも練習の強度が高い」と語った。

 一方のフイン・コン・デンも当初は長野の練習に参加予定だったが、ビザ発給のトラブルにより遅れて来日し、合同トライアウトはぶっつけ本番となった。

 ベトナム人選手2人は、合同トライアウトの2日目に参加。朝から小雨が降るあいにくの天候の中、7vs7のミニゲームの後、30分の実戦形式の紅白戦に出場した。両選手は寒さをこらえながら積極的に動き回ってシュートチャンスも作ったが、惜しくも決めきることは出来ず、試合後は悔しそうな表情を見せていた。

 帰国前の送別会で今回のトライアウトの感想を聞くと、「慣れない環境で、満足いくプレーは出来なかったが、貴重な経験になった。いつか日本でプレーしてみたいという気持ちが一段と強くなった」と口をそろえて語った。

(取材・文:宇佐美淳)

【了】

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