あと一歩だった悲願の初優勝
あと一歩のところでクラブ初のリーグ優勝を逃した。9勝3分というロケットスタートに成功したシーズンは、ラストを1敗2分で締めくくり、横浜F・マリノスがシャーレを掲げているところを目の前で見せられた。
長谷川健太監督体制2年目の今シーズン、チームは大幅に入れ替わった。梶山陽平は引退し、米本拓司、前田遼一といったかつてのチームを支えた選手が移籍。ジャエルやアルトゥール・シルバといったブラジル人アタッカー、韓国代表のナ・サンホ、世代別代表の田川亨介を獲得した。
先発メンバーの顔触れは昨季と大きくは変らなかったが、右サイドハーフには、横浜F・マリノスへの期限付き移籍から復帰した久保建英が定着した。12試合に先発して4得点、3アシスト。当時17歳の久保が前半戦の攻撃陣を牽引する活躍を見せた。
しかし、別れは早かった。クラブは6月15日にレアル・マドリー移籍を発表。6月1日の大分トリニータ戦を最後にコパ・アメリカ(南米選手権)を戦う日本代表に合流し、大会後はそのままスペインへと活躍の舞台を移した。
久保が先発しなかった試合の平均得点は1.2点で、先発したときの平均得点を0.4点、下回った。久保移籍の影響は小さくなかったが、それ以上に大きかったのはエースストライカーへの依存だろう。2年間、ディエゴ・オリヴェイラが先発から外れた4試合で、得点はわずかに1。今季、唯一欠場した最終節の横浜FM戦でも、FC東京は無得点に終わっている。
堅守速攻型のスタイルはFC東京に根付いたと言えるだろう。失点数は昨季の34から29へと減らし、守備陣の完成度はさらに高まった。中央大学を経て今季正式に加入した渡辺剛は、高い身体能力を武器にU-22日本代表にも選出。夏にアル・ヒラルに移籍したチャン・ヒョンスの穴を埋めた。小川諒也は約3か月間怪我で欠場したが、太田宏介(名古屋グランパス)からポジションを奪っている。
来季はAFCチャンピオンズリーグにプレーオフから参戦する。今季のように主力選手だけでは戦えなくなってくるだろう。オリヴェイラをはじめとする“欠かせない存在”への依存度がどれだけ抑えられるかどうかが、悲願の優勝へのキーポイントになるだろう。