クラブ史に残る低迷
準々決勝から参戦したYBCルヴァンカップでは鹿島に敗れ、リーグ戦の勝ち点は37。最終節まで残留を争い、J1参入プレーオフに回った16位・湘南ベルマーレとの勝ち点差はわずか1ポイントだった。AFCチャンピオンズリーグでは2年ぶりに決勝に駒を進めたが、国内での戦いは苦戦が続いた。
オズワルド・オリヴェイラはリーグ戦4連敗もあって5月28日に解任。大槻毅氏が後任に就いたが、チーム状況は一向に改善されず、7月31日以降はわずか1勝のみ。6戦未勝利でシーズンを終えた。
低迷の原因のひとつは、得点力の低さが挙げられるだろう。総得点34はリーグワースト4位の成績で、記録を遡れば残留を争った2011年(15位)の36得点を下回る数字だった。得失点差がマイナス2ケタとなったのも降格した1999年以来。まさにクラブ史に残る低迷だった。
個人で見ると、興梠慎三は12得点で気を吐いたが、それに続くのは長澤和輝の3得点。柏木陽介はケガに苦しみ、先発出場は15試合のみ。司令塔の不在は流れの中からの得点パターンに乏しさを感じさせた。
「脚がつっても走れる」と指揮官に評された橋岡大樹も肉離れで約2か月間、チームを離れた。右足関節内遊離体の手術を行った青木拓矢は、終盤の大事な時期にチームから離脱。主力を失ったチームは低空飛行を続けた。
過密日程を言い訳にはできない。昨オフには大型補強を敢行し、2チーム作れるだけの陣容は揃えている。前線には杉本健勇、左サイドには山中亮輔を獲得し、ポルトから期限付き移籍でエヴェルトンを獲得。最終ラインにはロンドン五輪日本代表の鈴木大輔を加え、スカッドは厚みを増したはずだった。
しかし、山中は定位置確保とはいかず、夏に関根貴大を呼び戻す必要に迫られた。2得点に終わった杉本は期待を大きく裏切ったと言えるだろう。大卒2年目の柴戸海はリーグ戦20試合に出場したが、主力を脅かす存在は現れなかった。
3年連続で優勝争いから外れ、残留争いを強いられた浦和は、今シーズン終了後に強化体制の一新を発表している。続投が決まった大槻監督の下、チームの再建が急がれる。