大幅なメンバー入れ替えの可能性
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EAFF E-1サッカー選手権で中国に2-1と勝利した日本代表は、14日に香港と対戦する。
2日前の練習でも中国戦のスタメン組は短めのトレーニングにとどめており、サブ組との強度の違いは明らかだった。香港戦ではシステムは3-4-2-1のまま、大幅なターンオーバーとなる可能性もある。
仮に“総入れ替え”となる場合は表記の通りの布陣になると見られる。
小川航基
田川亨介 仲川輝人
菅大輝 大島僚太 田中碧 相馬勇紀
古賀太陽 田中駿汰 渡辺剛
大迫敬介(小島亨介)
このシステムで重要になるのが2シャドーの働きだ。1トップはどうしても二人のセンターバックを背負いながらのプレーになる。逆に手前がスペースになりやすいため、シャドーの選手はボールを捌いたり、飛び出したりしやすい。言い換えればシャドーが機能しなければ、このシステムそのものが死んでしまうのだ。
中国戦の1トップ2シャドーは、上田綺世の背後に森島司と鈴木武蔵が構える布陣だった。主に森島が1トップとボランチ、サイドのリンクマンとしてボールを動かしながら起点となり、もう一人の鈴木武蔵が飛び出す。実際に3バック左の佐々木翔が上田に縦パスを付けて、そこから森島が追い越してのクロスを、鈴木が飛び込んで合わせるという形で先制点が生まれた。
香港の戦い方は?
香港は韓国戦で4-1-4-1のブロックを固めていた。中国戦より引いた相手を崩す展開になるが、シャドーに求められる役割は大きく変わらない。
【韓国戦の香港】
14ジェームス
3ロウ 16タン 20チェン 7ウォン
6ファン
2ツイ 5エリオ 4フン 21トン
1ヤップ
4バックの手前にキャプテンのファンが構え、ファンがサイドのカバーに流れればインサイドハーフのタンかチェンが埋めるという組織は良く機能していた。4-3-3がベースの韓国も粘り強くサイドを使って攻撃していたが、流れから得点することはできなかった。日本もかなりボールを支配する展開になりそうだが、崩し切るのは簡単ではない。それでも、2シャドーを有効に活用できればチャンスは見えてくる。
田川と仲川が2シャドーに並ぶ場合、イメージでは仲川が森島、田川が鈴木の役割を担う形になる。しかし、仲川は森島とタイプが異なり、よりゴール前でフィニッシュに絡む仕事を得意とする選手だ。田川もFC東京では2トップが基本で、北海道コンサドーレ札幌の鈴木のようにシャドーをやってきているわけではない。それでも短い時間ながら中国戦のピッチに立った田川なりにイメージはできているようだ。
「足元で起点になるところだったり、個ではがすところが出てくるかなと思うので、そこのポジション取りを意識しながらやろうと思うんですけど、一番はゴール前に入って行くことが大事だと思うし、点を取りたいと思っている」
田川亨介の強みと仲川輝人が描くイメージ
そう基本的な役割を理解する田川は、中国戦で鈴木武蔵が見せたような飛び出しに関して「ああいう形はシャドーならではの、あそこに入っていけるのはあると思うので、練習でもありましたし、そのイメージでやっていければ」と語る。その田川の1つ強みになるのは1トップの経験だ。
「1トップはサイドに流れないといけないとか、起点にならないといけないのは分かってるので、今回なら(上田)綺世くんとか(小川)航基はポストプレー、どっちかと言うとそういうタイプだと思うので、足下に1タッチで付けるなりして、また自分が飛び出すとか、そういう形ができる気はします」
その田川と2シャドーを担うとみられる仲川も、横浜F・マリノスでは3トップのウィングでの起用が多い。練習で基本的な役割を理解するだけでなく、中国戦では森保監督などの指示も明確に聞こえたことで、シャドーがどう動くべきかを観察していたようだ。香港戦に向けて「誰が付くか中途半端なポジションをうまく取りながら、攻撃に絡んでいければ」と仲川はイメージを描いている。
2シャドーを十分に生かすには周囲のウイングバックやボランチ、もちろん2トップの助けが大前提になるが、3-4-2-1の中でも多くのチャンスに絡み、結果を出すべきポジションである2シャドーの働きに注目して見れば試合の評価基準も明確になるはずだ。
(取材・文:河治良幸【韓国】)
【了】