3バックの採用はあるか?
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森保一監督が率いる日本代表はEAFF E-1サッカー選手権・韓国大会の初戦で中国代表と対戦する。23人のメンバーのうち14人が東京五輪世代というメンバー構成だが、大会が始まればそうした事情に関係なくA代表として大会に勝ちに行った先に経験も付いて来るはずだ。
日本の注目ポイントは3バックを採用するかどうか。U-22の選手が過半数をしめることもあり、A代表で本格的にトライするには絶好の機会でもある。基本的にこれまでA代表の経験がある三浦弦太や畠中槙之輔、橋本拳人、鈴木武蔵と言った選手のリーダーシップが期待されるが、3バックを早期に機能される上でU-22の選手たちの働きは欠かせない。
3バックが採用された場合の起用法に関して遠藤渓太は「ウィングバックはアンダーの代表でも何度もやっているので、ポジションが分からないとか、そういう言い訳は一切きかないと思っている」と語る。特に3バックの生命線となる左右のウィングバックは遠藤をはじめ追加招集された橋岡大樹、菅大輝と言ったU-22の選手が候補になるが、彼らがいきなり攻守両面で機能できないと難しい状況に陥るだろう。
3バックの予想布陣
GK:中村航輔
DF:佐々木翔、三浦弦太、畠中槙之輔
MF:大島僚太、橋本拳人、遠藤渓太、橋岡大樹、鈴木武蔵、仲川輝人
FW:上田綺世
こうして見ても、少なくとも3人のスタメンはU-22となる。GKはベネズエラ戦にも招集された中村航輔か、U-22の守護神候補である大迫敬介か読みにくいが、世代のミックスしたチームをいきなり1つにして行けるかが結果にも直結しそうだ。3バックを用いて1試合目というのはどうしてもポジションに意識がいきすぎて、相手チームが見えなくなってしまう傾向がある。そこはシステムに慣れているU-22の選手や、クラブで豊富な経験がある佐々木翔、鈴木武蔵などがイニシアチブを取って行くべき部分でもある。
森保カラーが示される機会に?
3バックは畠中、三浦、佐々木の3人がファーストセットか。三浦と畠中は中央と右のどちらを担当するか分からないが、ラインコントロールを中央から三浦がして行く方がスムーズかもしれない。畠中は東京ヴェルディ、横浜F・マリノスとセンターバックでも左側のイメージが強いが「3バックの左も中央も右もこなせると思っている」と語っており、右を担当する場合もしっかりとこなせることを主張していた。
森保監督の3バックはボールを保持しながら、守備で高い位置からプレスをかける場合、引いて5バック気味に守る場合と臨機応変な戦い方をするのに向いており、3度の優勝を経験したサンフレッチェ広島でベースになってきたシステムだ。“1トップ2シャドー”と呼ばれる前線の生かし方も心得ており、ようやくA代表で“森保カラー”が示される機会になるかもしれない。
ただ、そこでネックになって来るのが中国代表のチーム事情だ。カタールワールドカップ・アジア2次予選のシリア戦で敗れた直後にイタリア人のマルチェロ・リッピ監督が辞任した状況で、今回は“リッピの腹心”として支えた元中国代表MFの李鉄監督が指揮をとる。
「代表で指揮をとることは夢だった。一緒に活動できる時間は短いが、大会でいいパフォーマンスができるように努力し、1つ1つタフに戦いたい」と抱負を語った李鉄監督はプレミアリーグのエバートンで一時代を築いた中国のレジェンドだ。
従来の主力に加え、東京五輪の予選を兼ねる来年タイでのAFC U-23選手権に出場するU-22の選手も対象外となっているが、もっとも李鉄監督が率い、E-1選手権では予選で招集されていない実力者にテストの機会を与えることが事前からリリースされており、11月にもそのメンバーで国内合宿を行っている。初招集か経験者でもしばらく呼ばれていなかった選手が多く、蓋を開けてみないと布陣も分からない。
ただし、シ・ケーやツァイ・フイカン(ともに上海上港)やメイ・ファン(広州恒大)など強豪クラブで主力を張る選手も多く、彼らはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)での経験値が豊富だ。
そうしたチームを相手に短期間で世代間の融合をはかり、3バックのトライも予想される若き“森保ジャパン”が試合の主導権を掴み、勝利につなげることができるかどうか。未知数なところが多い両者だけに、立ち上がりから噛み合わせを見て行く必要がありそうだ。
(取材・文:河治良幸【韓国】)
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