マンチェスター・ユナイテッドのロイ・キーン【写真:Getty Images】
一昔前までのサッカーファン、特に海外サッカーファンにとって、この季節は1年間でも最も楽しみなイベントの一つが行われる時期だった。例年11月末から12月はじめにかけて開催されていたクラブ世界一決定戦「トヨタカップ」である。
日本以外ではほとんどの場合「インターコンチネンタルカップ」と呼ばれたこの大会では、欧州王者と南米王者の2クラブが一発勝負で激突し、クラブ世界一の座を争った。1980年から開催地が日本に固定されたこともあり、出場チームの母国のファンだけでなく日本のファンにとっても特別な意味を持つ大会となっていた。
ちょうど20年前の1999年11月30日に開催された試合では、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドとブラジルのパルメイラスが東京・国立競技場で対戦。ユナイテッドはこの年のチャンピオンズリーグ決勝で歴史に残る大逆転劇(“カンプ・ノウの奇跡”)の末にバイエルン・ミュンヘンを下して欧州王者に輝いたチームだった。
アレックス・ファーガソン監督率いる黄金時代のユナイテッドはデイビッド・ベッカムやライアン・ギグス、ポール・スコールズ、現監督であるオレ・グンナー・スールシャールらを擁する豪華メンバー。一方の南米王者パルメイラスはジーニョやセザール・センパイオ、エバイールなど日本と縁のある選手たちも数多く出場していた。
試合を決定づけるゴールは前半35分、ユナイテッドの“闘将”ロイ・キーンに生まれた。左タッチライン際を鋭く突破したギグスのクロスがGKの伸ばした腕の先を越えると、ゴール前まで駆け上がっていたキーンが右足で合わせてゲット。これが決勝点となり、ユナイテッドが優勝を飾った。
トヨタカップは2004年にその役割を終え、クラブ世界一決定戦は欧州と南米以外の各大陸王者も加えて行われるFIFAクラブワールドカップに受け継がれた。日本の浦和レッズは残念ながら出場権を獲得できなかったが、今年の大会も12月11日よりカタールのドーハで開催される。